令和2年11月定例会 代表質問 [ニューノーマルとDX、そして業務改革について]

令和2年(2020年)11月定例会 代表質問

以下、議会で質問した内容と、答弁いただいた内容を記しております。

ニューノーマルとDX、そして業務改革について

ニューノーマルについて我が会派は、これまで、質疑そして意見を重ねてまいりました。
頂いたご答弁は比較的前向きで、業務フローのデジタル化の必要性について意識を持っていただいているかと思いますが、現場の職員の方々までその意識が浸透しているかというと、疑問の残るところでございます。
また、重要なことは、デジタル化そのものではなく、デジタル技術を活用して何を実現するかです。
前の議会質問から約3か月たちましたので、短い期間ではありますが、この間の進捗状況をお聞かせ願います。

ご答弁(総務部長)
職員の在宅勤務につきましては、今後の新しい働き方の一つであり、制度を充実させる必要性を認識しておりますので、現在、緊急措置的に、妊娠している職員を在宅勤務とするなどして、有効な活用方法を実地的に検証しているところでございます。
制度の充実に向けての課題といたしましては、まず、個人情報の取扱いがあり、各職場、個人情報を取り扱う業務が多い中、現在も、在宅勤務可能な事務の抽出、拡大に苦労していると感じております。
また、職員の勤務条件を所管する総務部といたしましては、緊急措置的な実施から、継続可能な制度への移行に向けての検討の過程で、通信費等の支給の可能性、監督者がいない環境での人事評価の在り方、公務災害の考え方など、多くの課題を認識したところでございますが、どういった解決ができるのか、検討を進めてまいりたいと考えております。

ご答弁(行政経営部長)
行政経営部からもお答えを申し上げます。
さきの9月定例会から、これまでの取組といたしましては、主に2点ございます。
1点目は、ウェブ会議システム及びテレワークに関する整備拡大でございます。
庁内での利用が広がり、特にウェブ会議システムにつきましては全庁的に浸透し活用が進んできたことから、現在は、それぞれのシステムに対して、貸出機器を倍増して対応いたしております。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策の観点からも、特にテレワークをはじめとして、さらなる利用促進を目指しているところでございます。
2点目は、AI議事録作成支援システムの構築でございます。この9月に構築を完了し、現在は、今月からの全庁的な運用開始に向けて準備を進めているところでございます。
そのほか、RPAの開発や手続の電子化に向けた電子申込みシステムの拡大などにつきましても、着実に取組を進めているところでございます。

先日、今議会の議案説明をオンラインで行っていただきましたが、ウェブ会議システム、ズームを使用しました。担当部署には、それらを使うデバイスがなく情報政策室から借りてきたとのこと、お手軽なツールであっても、それらを使う環境が身近なものでなければ、結局は今までと変わらない、意識改革も進まないと考えられます。各課に配置するなど、こういった簡単なところから整備を進められてはどうかと思います。

議会は、議会費予算を背景に、クラウド共有システム、タブレット端末、iPadの配付などのハード面の整備は表向き先行しておりますが、デジタル推進と経費削減については進んでいない状況であります。
我々議員には至れり尽くせりの環境で厚遇されていますが、市長部局の職員にはPCカメラすらない状況で、オンライン上のコミュニケーションの環境は整っておりません。

デジタル推進と同時に、ペーパーレスなどの従来アナログのコストダウンを両立していかなくてはならず、可能性を大きく引き出せる人員配置を、市長部局だけではなく、議会事務局やその他の部局にも、市長には踏み込んで行っていただきたく思います。
この辺りについては、我が会派の個人質問でも引き続き伺ってまいります。

デジタル技術の活用例を挙げますと、これまで手作業で行っていた保育園の入所選考のマッチングで、AIを活用したマッチングに切り替え、業務期間と業務時間を大幅に短縮し、保護者への案内も従来早くできるというところまで準備が進んでいるかと思います。

さらなる効率化を図るためにも、申込み手続を電子化し、電子申請データをRPAによりシステムへ自動連携することで、業務時間と労力を大幅に削減し、誤入力などのヒューマンエラーを回避できるというメリットが挙げられます。また、システム上でのエラーチェックにより、不備書類を削減することが可能になります。

手書きの書類申請だけでなく、電子申請とAI、OCR、RPAのセットでの導入により、職員の働き方改革という観点と住民サービスの向上に大きく寄与されると思いますが、積極的に進められてはどうでしょうか、部長のお考えをお示し願います。

ご答弁(児童部長)
デジタル技術の活用による業務の改善につきましては、従前より議論を進めており、令和3年(2021年)4月の保育所等利用申込み分からAI選考を本格運用し、業務の効率化と、それに伴う市民サービスの向上の効果を見込めるものと考えております。
さらに、保育所等利用申込みの電子申請につきましても、市民が来庁することなく、自宅等から申請ができ、また、職員が入力作業をすることなく、その申請内容がそのままシステムに反映されるような仕組みの実現に向け、現在、課題の整理を進めているところでございます。

方向性としては、共通しているようで安心しました。
実用化まで、スピード感を持って取り組んでいただきますよう要望いたします。

保育園入所手続の新規や継続に当たっての利用申込書や現況届について、新規や変更のあった場合はもちろん提出は必要と考えますが、特に変更点のない方も大勢おられ、現況届で、毎年毎年同じ内容を書いていただいております。
フォーマットで変わったところだけを変更して送信すれば、保護者の負担も劇的に減ることになります。

また、公立の園では、自宅と通園する施設を結ぶ地図も毎年提出することになっておりますが、今の時代、略図なんてものはあってもなくても、住所が分かればネットで検索できます。

保護者の負担軽減、そして職員の負担軽減を図るため、これらの申請手続の見直し、そして申請の電子化を早急に進めるときに来ていると考えます。
また、そういった単純にデジタル化するだけではなく、現状の業務全体を抜本的に再構築することが必要と考えますが、副市長のお考えをお聞かせ願います。

ご答弁(児童部長)
就学前の教育・保育に関する事務につきましては、現在、市民の負担軽減や利便性の向上と職員の業務負荷の軽減を目指し、制度内容や業務フローの課題整理に取り組んでいるところでございます。
今後におきましては、手法にとらわれることなく、効果が最大限に見込まれるよう、改善策について、具体的な検討を進めていく所存でございます。
なお、実施に当たりましては、利用する市民の方々や教育・保育現場に混乱が生じないよう、留意してまいりたいと考えてございます。

ご答弁(副市長)
全庁的な業務改善につきましては、先ほど、担当部からもご答弁させていただきましたけど、保育所の利用申込みを令和4年(2022年)からはスマホからでも行えることを目指すことなど、福祉職場をはじめ、全庁的に業務改善の検討を指示しております。
市民が効果を実感できるような利便性向上と業務量削減による職員のワーク・ライフ・バランスの両立の実現を目指して、あらゆる観点から、取組を進めてまいりたいと考えております。

非常に前向きなご答弁でありましたので、安心しております。

保育幼稚園室だけに限らず、あらゆる業務を見直し、システムごと、外部の業者に委託するアウトソーシング等のBPOも検討するのもいいかもしれません。

それとは別に、これからの新しい時代を迎えるに当たり、組織風土や組織文化を変える覚悟を持って、自治体として、デジタルトランスフォーメーションの部門横断的な組織づくりが必要であると考えます。

国のデジタル庁の創設などでデジタル化の機運が高まる中、本市としましても、業務改善ではなく、業務改革すなわちBPRで、ニューノーマルの時代に沿った自治体へと進化させるべきであり、進んだ先には、職員の働き方改革と住民サービスの向上に大きく寄与するものと考えます。

デジタル技術の活用を大幅に広げて業務改革を進め、行政サービスを変革していくに当たり、現在、本市においても情報政策室はありますが、それぞれの室や課で業務改善をばらばらに進めていくのではなくて、どこか集約して、庁内一体的に業務改革とマネジメントのできる「デジタルトランスフォーメーション推進室」なるものの設置を提案いたします。
市長のお考えをお聞かせ願います。

ご答弁(行政経営部長)
本市のICTに関する取組につきましては、第4期の情報課推進計画に基づきまして進めているところでございます。
ICTの利活用は、情報政策部門だけではなく、あらゆる部門にて主体的に取り組むべきものであることから、本計画は、全庁横断的な組織である情報化推進本部において策定をいたしております。
その進捗を様々な観点から組織的にチェックし、適正化に取り組む、いわゆるICTガバナンスという面で、情報政策室がその役割を担い、全庁的な推進を図っております。
また、企画財政室におきまして、業務プロセス改善の取組を推進しており、実施計画や予算編成と連携しながら、ICTの利活用を初めとした業務量削減に向けた取組が進むよう、努めているところでございます。
新たに組織を設置するのではなく、ICTの利活用の推進を担う情報政策室と業務プロセス改善を推進する企画財政室が、同じ行政経営部の下で連携を図ることで、全庁的な業務プロセス改善を進めているところでございます。

ご答弁(市長)
この分野の議論というのは、どうしても英語、片仮名が増えざるを得ないんですけれども、だからといって、何か急に新しい技術が出てきたものではございません。
既に私たちの生活の中に、ICT、AI技術が深く浸透して、定着をしております。
それは、スマホを見れば明らかなことです。
一方で、個人情報など行政情報を大量に扱う、それも慎重に取り扱う責任を持つ行政ですね、そこの事務が複雑とならざるを得ない背景はございます。
しかし、それにつきましても、デジタル化と手続の自動化、いわゆるRPAを慎重かつ迅速に進める方向で、既に庁内横断的な推進体制の下で、AI活用を含めた業務改革を進めているところでございます。いっそう力を入れてまいりたいと存じます。

看板が替われば、職員の意識もおのずと変わってくるとは思いますし、積極的に手を挙げて、その部署に入ってみたいと、いろんなことやってみたいという職員もおられるかもしれませんので、市長には常に新しい発想をいただきますよう、お願いいたします。

業務改革という観点で質問を続けます。

小学校の学校給食費については、現在3月までは無償化されておりますが、通常は各学校で引き落とされ、学校給食会に振り込むということになっておりますが、以下について確認させていただきます。

給食費の未納数とその未納の対処方法について、私費なのか公費なのか、未納の分はどのように処理されているのでしょうか。
感染症などで学級閉鎖や臨時休校となった場合の発注キャンセルなどの負担はどこが請け負うのか、多くなりましたが、まとめてご答弁願います。

ご答弁(学校教育部長)
給食費につきましては、各小学校で保護者から徴収し、吹田市学校給食会で集約、管理しており、私費(わたしひ)という意味で私費(しひ)でございます。
給食費の徴収率は99%以上で推移しており、一部の未納給食費は、各学校からお手紙の送付や面談等による徴収業務を定期的にしていただきながら、2年間を経過した場合は、給食会の決算時に不納欠損処理をしており、令和元年度のその件数は44件でございました。
次に、学級閉鎖等による急に臨時休業になる場合の取扱いは、保護者へは給食基本方針に基づき返金処理を行い、使用予定の食材については後日使用するなど、できる限り無駄にならないように取り組んでおりますが、キャンセルができない食材の場合は、学校給食会で負担をしております。

先ほど、他の会派の議員からも質問がありましたが、ICT化を進めていくに当たり、業務改革の一環として、これらのキャッシュフローの業務を市のほうで一元管理されてはいかがでしょうか。
学校現場の職員の負担軽減につながり、そして管理がしやすい環境にすることで、迅速な対応や対策も考えることができます。
合理的な運営を考えると答えはおのずと出てくるかと思いますが、この点について、御所見をお聞かせください。

ご答弁(学校教育部長)
学校で徴収する費用などは、学校給食費以外にも教材費、修学旅行費等があり、給食費と同様に、徴収、管理の事務を行っております。
先ほどもご答弁いたしましたが、現在、教職員の徴収業務等に係る負担軽減を効果的に得られる取組となるよう、学校事務改善検討委員会の中で、学校長や事務職員等の意見を伺いながら、給食会計の公会計化と学校徴収金の取扱いについても併せて検討しており、学校現場の負担軽減と保護者の利便の向上を図るシステム化に取り組んでまいります。

同じ方向性で検討いただいていると認識しました。

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