令和7年9月定例会 個人質問 トピックス
JR吹田駅前立体駐車場跡地における保育所設置について
高村まさとし本市はこれまで待機児童解消に向け、多様な保育の受け皿整備を進めてこられました。
その点は一定評価するものであります。
一方で、今回、JR吹田駅前の市有地に、長期にわたり民設民営の保育所を設置する計画については、駅前一等地という極めて高い立地の価値を踏まえ、まちづくり全体の観点から慎重な検証が必要であると考えます。
当該地は商店街の中心部に位置し、希少性の高い市有地であります。
そのため、保育所の単独用途が最適解なのか、あるいは複合用途や別の用途の可能性も検討すべきではないかという声が、市民や地域の関係者から寄せられております。
また、当該市有地は公共財産であり、その価値を適切に評価した上で、公募段階における貸付条件の合理性・透明性を担保する必要があると考えます。
以上を踏まえ、質問いたします。
Q1 市有地活用の基本方針と駅前エリアの位置づけについて



市有地の活用全体に関する本市の基本方針をお示しください。
また、駅前や商店街の中心部など「立地価値の高い市有地」については、公共財産として優先度や活用の基準を設けているのか、お聞かせください。



公共施設整備担当
本市が保有する公有地の活用につきましては、吹田市公有地利活用の考え方に基づき、個別用地を特性に応じた最適な利活用手法、処分方法などを検討するなどとしております。
また、駅前や商店街中心部など、土地価値の高い市有地に対する優先度や基準は設けておりません。



JR吹田駅前周辺の将来像について、都市計画・まちづくりの観点から、どのようなビジョンを描いているのか。
また当該用地や周辺の商店街をどのような役割として位置づけているのか伺います。



都市計画部長
JR吹田駅前周辺の将来像につきましては、都市計画マスタープランにおいて、各種の商業施設や周辺商店街の活性化の動きと連携を図りながら、商店街が地域コミュニティの核として地域になくてはならない存在となるよう、商業機能の充実に努め、触れ合いと活気ある商業空間としての都市拠点の形成を目指すとしています。
Q2 保育所設置の必要性と立地選定の合理性について



当該エリアの保育需要、待機児童数、年齢別定員の充足状況などの、将来の見込みを含む定量データを踏まえ、本立地に保育所が必要と判断した根拠を示してください。



児童部長
当該区域の保育の需給状況につきましては、本年4月時点で3歳児未満では45人分が不足しており、保育所等待機児童が4人発生しております。
一方、3歳児以上では432人分が充足しておりますが、駅前で利便性が高い当該跡地を効果的に活用できる保育所を整備することで、未利用児童の削減をはじめ、乳幼児期の一貫した保育が提供できるほか、一時預かり保育など多様な保育ニーズへの対応が期待できるものと認識しております。



当該地を候補とするにあたり、市有地を含む他の候補地との比較検討を実施したのか。
実施した場合は、地価・アクセス・周辺環境・防災等の比較軸と、当該地を選定した理由を示してください。



児童部長
当該区域において、市有地・民有地を含め、保育所整備に適当と判断する用地がなく、本年3月の利活用調査において、保育所誘致を検討したものでございます。
当該跡地は駅前で、商店街の通りに面していることから、通園する児童、保護者、保育従事者にとっても利便性が高く、適地であると考えております。



当該地は駅前商店街という“にぎわい創出”が求められる立地である一方、保育所は比較的クローズドな用途であります。
こうした用途への転換が、商店街や地域経済の活性化、さらには地域全体のまちづくりに対してどのような影響(プラス面・マイナス面)をもたらすと整理しているのか。
本市としての総合的な評価を伺います。



都市魅力部長
保育施設整備予定地については、商店街の一角に位置しております。
当該商店街におかれましては子育て世帯を対象とした取組を進められており、子育て世帯の継続的な来街によるにぎわいや、地域経済の活性化につながるものと期待しております。
一方で、送迎に伴う自転車の走行や駐輪など、歩行者の安全確保が課題であると認識しております。
ほんまに地域経済の活性化につながるのかな?
保育施設が来ることで来街の人数は極めて限定的だと思うんですがね…。



今回のご答弁を伺う中で、当該地を保育所として活用する判断に至ったプロセスが、十分に整理された形で示されていないように感じました。
保育需要そのものは理解しております。
しかし、答弁内容からは、保育所整備の方針がまずあり、その最適地を選んだというよりも、土地の空きが生じることを契機に保育所の活用が決まったようにも受け取れます。
当該地は商店街の中心であり、地域の将来像にも影響を与える立地です。だからこそ、
① 他の候補地との比較
② この場所を選ぶ合理的根拠
③ まちづくりとの整合性
といった判断の流れが、もう一段丁寧に明確に示される必要があると考えております。
Q3 市有地の価値の評価と公募の貸付条件について



当該地は駅前中心地に位置し、立地優位性が極めて高いと考えます。
近隣地価、民間賃貸相場、将来的機会費用など、当該立地の価値をどのように評価しているのか、具体的に示してください。



児童部長
保育所誘致に当たりましては、教育・保育の認定区分ごとに、それぞれの需給状況を分析し、将来予測に基づき検討を進めております。
担当といたしまして、当該跡地の市場価値を具体的な指標を持って評価できるものではございませんが、鉄道駅の近くに位置し、利便性が高く、また地域及び商店街の活性化にも寄与できることが期待できますことから、永続した活用が見込まれると考えております。



30年という長期貸付に伴う財産価値の変動や機会損失をどのように考慮しているのか。
特に地価が上昇局面にある中で、固定的な貸付条件とすることの妥当性についてお示しください。



児童部長
当該跡地につきましては、保育所施設整備の必要性を有する区域に位置しており、公共施設最適化推進委員会において、民間事業者による保育所整備の方向性を確認したものでございます。
園舎の耐用年数などを考慮しますと、事業用定期借地権による30年間の貸与が適当と考えております。
また、貸地料については、他の保育所用地の貸付と同様、本市の規定に基づき減額適用も含めて設定することで、地価上昇等の局面においても、安定した事業運営に資するものと考えております。



こうした立地価値や長期的なリスクを踏まえ、公募条件を設定するにあたり、どのように貸付条件を決定する方針なのか。
公平性・透明性を確保した上で、公共財産としての価値を適切に反映する仕組みについて、本市の見解を伺います。



児童部長
保育事業者につきましては、応募事業者が提案する保育内容、職員体制、施設整備などの項目を総合的に評価する手法により選定することとしております。
また、用地の貸付に当たっては、借地借家法に基づく事業用定期借地権を設定して、貸付期間は30年間とし、契約満了前の建物滅失により借地人が新たな建物を築造した場合であっても、期間延長を認めないことや、借地人による建物買取請求を認めないことなどの条件を付す予定としております。



この議論を通じて改めて感じたのは、駅前一等地という非常に価値の高い市有地を長期間貸し付けるにあたり、その評価方法について、より丁寧な検討が必要ではないかという点であります。
私は保育所の設置自体に異論はありません。
しかし、当該地は商店街の中心に位置し、立地特性が市内でも高いわけです。
こうした土地について、「固定資産税評価額」や「提示平均価額」の低い方を基準として算出する方式だけで本当に十分なのか、という点にはやはり慎重な検証が求められると考えています。
本市の普通財産貸付要領には、
「不動産鑑定価格がある場合は、その鑑定価格を基本とする」
と明記されています。
これは、土地ごとの立地条件や特性によっては、「固定資産評価額」だけでは、価値が適切に反映されない場合があることを想定した規定であります。
今回の土地のように、駅前の集客性や商業性、将来的な発展の可能性が極めて高い場所については、適正な価値をどのように把握するかが、公共財産を管理するうえで非常に重要となります。
その意味で、不動産鑑定という選択肢は有効ではないかと感じております。
あくまで、より客観性の高い手法を補完的に取り入れることで、市としての判断材料が増え、将来の機会損失を抑制することにもつながると考えます。
踏み込んで、お伺いします。
本市の貸付要領では、「不動産鑑定価格」を用いることができると明記されています。
本件のように立地価値が高く、将来にわたる影響が大きい市有地については、鑑定評価を活用することも検討してはどうかと考えますが、本市のご見解をお聞かせください。
※ 固定資産税評価額…税金を計算するために自治体が定める土地・建物の評価額。市場価格より低めになる傾向がある。
※ 提示平均価額…大阪府が市町村に対し、固定資産税評価額の参考として毎年示す「㎡あたりの評価額」。土地価格の“基準値”のようなもの。
※ 不動産鑑定…専門の不動産鑑定士が、土地や建物の“本当の価値(時価)”を評価すること。客観的で信頼性が高い評価方法。
※ 機会損失…本来得られたはずの利益を逃してしまうこと。土地を安く貸すことで、得られるべき収入が減ることなどを指す。



児童部長
民間事業者による保育事業の運営に当たりましては、固定経費を低く抑えるなどして、安定した事業運営を継続的に行うことが極めて重要であると考えております。
これまで社会福祉法人等が公有地を活用し、認可保育事業を行う場合には、宅地の提示平均価額を用いた減額貸付制度により、貸地料を低く抑えることで、その立地にかかわらず、安定かつ充実した保育環境が提供できるよう対応してまいりました。
当該用地についても、保育所を誘致していくことを踏まえ、継続的に安定した事業運営をしていく観点で、引き続き適切な貸地料を設定してまいりたいと考えております。



本市の貸付料算定方式では、どれほど立地価値の高い土地であっても、「提示平均価額」や「固定資産評価額」といった“制度上低く出る基準”によって評価されるため、結果として駅前一等地であっても本来の価値が反映されない構造になっています。
事実、令和6年度の「大阪府提示平均価額」であてはめた場合、当該地は約9,000万円の評価となる一方、周辺相場を熟知する民間の不動産関係者の感覚では、最低でも2億円以上が妥当といった声や、将来的にはさらに上昇も十分ありうるとの声もあります。
しかも、減免措置も適用されますから、その差は更にその倍以上になるでしょう。
本市でこの制度が制定された当時には、一定の合理性があったのかもしれません。
しかし、本市の財政は今まさに厳しい局面にあり、決算でも実質的な赤字が示されています。
そうした状況の中で、駅前の希少な市有地を長期間貸し付けるにあたり、その価値を制度上、もっとも低く算出される基準のみによって、判断してよいのか――この点には、市民の財産を守る立場として、どうしても疑問を抱かざるを得ません。
だからこそ、本市の要領に明記されている
「不動産鑑定価格がある場合はそれを基本とする」
という規定は、まさに今のようなケースのために、存在しているのではないでしょうか。
財政が厳しい今だからこそ、そしてこの土地が特に高い価値を持つからこそ、鑑定評価を活用し、客観的で実勢に近い土地の価値を把握することは、市民の共有財産を適切に扱ううえで、最も合理的な判断であると考えます。
当該案件に関して、この視点を踏まえ、適切な評価手法の検討を進めることを強く求めておきます。
※ 減免措置..福祉法人などが市有地を利用する際、公益性を踏まえて貸付料を割り引く制度で、吹田市においては、5年間は75%の減免(割引)、6年目以降は50%の減免(割引)となっている。
Q4 地域や市民意見の反映について



当該計画に関し、市民・商店街関係者・NPO法人JR吹田駅周辺まちづくり協議会から、どの程度意見聴取を行ったのか。
また、その意見をどのように整理し、計画にどのように活かそうとしているのか、本市の考えを伺います。



児童部長
関係者からの意見聴取の状況につきましては、当該跡地が商店街の一区画であることから、商店街関係者を中心に説明に回り、御意見を得ているところでございます。
関係者からは、想定する施設機能や自転車利用の保護者及び商店街通行人の安全対策に係る御質問を頂いたほか、保育所と商店街との連携の可能性などについて御意見がございました。
頂いた御意見等につきましては、事業者公募における条件づけの参考とさせていただくことを検討しております。



計画の詳細化・設計段階においても、周辺住民や商店街関係者の意見を継続的に聞く場を設けるべきと考えますが、ご所見を伺います。



児童部長
保育所の整備及び運営においては、地域の御理解と御協力が重要であると認識しておりますことから、今後とも、引き続き地元自治会や商店街関係者の方には、適宜、進捗等の情報を丁寧に説明し、御理解を頂けるよう努めてまいります。
Q5地域まちづくりへの影響について



現在、駐車場として運用されている当該市有地の収益構造と、まちづくり協議会における位置づけについて、本市としてどのように整理しているのか伺います。



都市魅力部長
当該市有地につきましては、本市が暫定的にNPO法人JR吹田駅周辺まちづくり協議会に貸し付けているものでございます。
同協議会が駐車場経営等により得た収入を原資として、商店街活性化事業を行っているものとお聞きしておりますが、あくまで暫定的な収益による取組と考えております。



駐車場廃止に伴い、協議会の活動財源や商店街への影響をどのように想定しているのか。
また、代替となる支援について検討している事がありましたら、お聞かせください。



都市魅力部長
当該駐車場収入はJR吹田駅周辺まちづくり協議会発足当初からのものではなく、あくまで暫定的な財源として認識しております。
また、駐車場の廃止により、利便性の低下は想定されますが、周辺には時間貸駐車場も存在しており、影響は限定的であると考えております。
一方で保育施設の誘致は、商店街活性化の契機になると考えており、ぜひ周辺商店街にはこの機会を捉えていただき、本市といたしましても、活性化に資する取組につきましては引き続き支援に努めてまいります。
Q6 施設周辺の安全対策について



周辺は交通量が多く、信号のない横断歩道が存在するなど、歩行者・自転車・大型車両が錯綜する地点であり、保育施設の設置には安全対策が不可欠です。
路上駐車対策や歩行空間の安全確保など、現時点での課題認識と検討状況を示してください。



児童部長
当該跡地付近は、商店街利用者や搬入事業者のほか、鉄道駅を利用する方が多く行き交う場所でありますことから、交通対策をはじめとする安全対策が重要であると考えております。
周辺の交通状況等を考慮した園児の送迎時のルールや駐輪スペースの確保、その他、立地特性に起因する対策を講じるよう関係部局と連携し、対応してまいります。








