まずは記事をわかりやすく説明
天草市は熊本県の南西部に位置し、人口は県下第3位、総面積は県下最大です。自然豊かなこの地域は、天草灘・有明海・八代海に囲まれ、雲仙天草国立公園の美しい景観や、日本の夕陽百選に選ばれた夕陽スポット、キリシタン歴史や南蛮文化に触れることができます。
また、野生のイルカと共生する地域としても知られ、イルカウォッチングが観光の目玉の一つとなっています。
天草市はかつて離島であったため独自の経済圏を形成していましたが、天草五橋が完成し本州と繋がって以降も、人口減少と高齢化が進んでいます。2006年の大合併時には約9万9千人だった人口が、2023年には約7万3千人へと25％も減少。高齢化率は42％に達しています。
経済的には、地元での購買率が8割を超える一方で、RESAS地域経済分析システムによると、天草市の経済循環率は県下14市中13位と低い水準に留まっています。この課題に対処するため、市は地産地消を推進し、地域内での消費を促進する施策を数多く導入しています。
例えば、2014年から始まった天草市住宅リフォーム助成事業では、地元の建設業者の利用を条件に、施工費の20％（上限20万円）を助成。この助成金は市内でしか使えない商品券で交付され、地域内消費の増加と地元事業者の利用促進を図っています。
さらに、新型コロナウイルスの影響で、2021年には商品券の電子化を進め、感染拡大防止と業務の効率化を目指しました。
電子商品券アプリ「天草のさりー」は、天草の方言で「天からの授かりもの」を意味し、市民に親しまれやすい名称で設計されています。
しかし、この電子化にはデジタル格差の問題も顕在化しました。電子商品券の利用率は期待ほど高くなく、特に高齢者やデジタル慣れしていない層には利用が困難であることが判明。市は高齢者向けのスマートフォン教室「スマートカレッジ」を設けるなど、デジタル化への取り組みを強化しています。
このように、天草市は地域独自の経済活動とデジタル化への挑戦を進めており、今後の発展が期待される地域です。
高村の考え
地域内で完結する経済循環の構築は、少子高齢化と人口減少が進む日本の地方都市共通の課題です。
商品券や電子通貨を用いた地域経済の活性化は、他地域にも応用可能なモデルなのだろうと思います。
しかし、電子商品券の導入で顕著になったデジタル格差の問題は、今後の大きな課題だと思います。
デジタル化が進む中で、「誰一人取り残さない」アプローチが必要とされます。
地域通貨への移行やマイナンバーカードの活用など、新しい試みによって、地域独自の解決策を見出し、それを実践している点は注目に値します。このような実践から学び、吹田市においても模範となる施策を検討し、実施していきたいと考えています。
