令和7年9月定例会 個人質問 トピックス
今回は「一括質問・一括答弁」形式でしたが、読みやすくするためセクションごとに区切っております。
「一括質問・一括答弁」とは…
一度登壇するとすべての質問を述べ、それに対して理事者が全ての質問に対して一度に答えます。
吹田市議会においては、この方式の場合3度まで登壇する事が可能となっております。
1回目の登壇 – 質問
高村まさとし自治体DXは本市でも一定の前進を見せていますが、重要なのは導入そのものではなく、実効性をどう測り、市民の成果へどう還元するかです。
限られた予算・人員の下で、投資の優先順位を明確化し、続けるべきことと見直すべきことを峻別しながら、全庁的な設計のもとで改善を積み上げていく必要があります。
あわせて、AI等の新技術の活用はガバナンスとデータ活用の設計があってこそ価値が高まります。
また、セキュリティは守りの整備に加え、実戦的検証で実効性を確かめる視点が欠かせません。最終的に、これらを支えるのは人材と学習する仕組みです。
以上を踏まえ、以下質問いたします。



本市におけるDX施策は一定の成果を挙げつつありますが、現状は業務単位での効率化にとどまり、全庁的な情報システム・アーキテクチャとして設計されていないのではないかと懸念しております。
例えば、「どの施策が市民の時間削減や満足度向上にどれだけ寄与したのか」を定量的に追跡する仕組みは整備されているのでしょうか。
仮に全庁横断での成果測定が存在しない場合、部分最適の積み重ねにとどまる恐れがあります。
多額の費用を投じている本市のDXにおける成果が見えなければ、市民からの信頼を失う危険もあります。
市として、市民起点のアウトカム評価と情報システム・アーキテクチャ設計をどのように統合し、その成果を市民に還元していくのか、現状と今後の方針についてご説明ください。



DXの成果の可視化につきましては、「デジタル政策1.0」に基づき、全庁一体的にDX関連施策を推進しており、取組ごとにPDCAサイクルを実行することで、定量的、定性的な効果を測定し、その評価や分析結果をホームページで公開しております。
今後も引続き、各取組が市民の信頼を得られるよう努めてまいります。



本市における、生成AIの活用は現在一部の業務に限定されていると認識していますが、多部門での活用拡大や、住民情報、アンケート、利用実績といった行政が保有する各種データとのAPIやメタデータ等の有機的な連携によって、業務効率化や政策形成の質的向上、そして市民サービスの改善につながることが期待されます。
市として、生成AIの利活用に関する今後の方向性や構想、さらにそれを支えるガバナンス体制の整備状況について、市民への成果還元の観点も含めて現時点での方針をお示しください。



生成AIの活用につきましては、利活用ガイドラインを策定し、全庁的なガバナンスのもと、実証実験を実施しております。
生成AIは、未知の部分も多い技術であるため、まずは、影響範囲が限定される内部事務への適用を優先し、業務効率化を通して、市民サービスの向上に繋げてまいりたいと考えております。



近年、自治体情報システムにおいてクラウド移行が加速しています。
本市においても利便性やコスト削減の観点からクラウドサービスの導入が進んでいると承知しています。
一方で、特定ベンダーに依存しすぎることで、契約更新時に選択肢が限定され、コスト増や機能制約が生じる「ベンダーロックイン」のリスクが全国的に指摘されています。
そこで伺います。
本市として、国の標準仕様に従うだけでなく、契約条項を精査し、対象システム・スケジュール・切替時の業務継続・リスク評価を含む移行計画を策定し、複数ベンダーを比較検討するプロセスや、将来切り替え時のコスト試算をどのように行っているか?
ベンダーロックインのリスクをどのように考え、回避・軽減する方針等についてご所見をお聞かせください。



ベンダーロックインのリスクにつきましては、主に費用高騰のリスクを認識しており、リスクに対するコントロールについては、システム更新時等に競争原理が働きやすい標準的な技術や仕様によって構築を行うことが最も有効であると考えています。
その対応策として、ベンダーロックインに関するリスク等を記載した「情報システム調達ハンドブック」を作成し、庁内に周知を図っております。



行政によくありがちな、これまで導入されたデジタルツールや業務プロセスの中には、目的に適さなくなったものや、重複・形骸化しているものも存在すると考えられます。
レガシーシステムが残存している場合はなおさら、見直しや整理を進める必要があります。
「やめることリスト」要するに、「業務棚卸しと廃止判断を仕組み化」することは重要であり、
技術的負債の可視化・評価を行う体制の整備が重要であると考えます。
市として、この点に関する現状と課題認識、今後の取組方針についてご説明ください。



デジタルツールや業務プロセスの整理につきましては、「デジタル政策1.0」のビジョンのひとつである「人材と財産の無駄のない活用」に基づき、スクラップ・アンド・ビルド等の観点を常に意識して取組を進めております。
また、PDCAサイクル実行の仕組を確立していく中で、廃止を含めたシステム等の精査についても検討してまいります。



本市では現在、不正アクセスを防ぐ仕組みや監視体制など、一定のセキュリティ対策は整備されていると承知しています。
一方で、近年のサイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、従来型の対策だけでは不十分であると指摘されています。
その対策の一つとして、攻撃者の視点から実際に侵入を試みることで防御の実効性を検証する実戦型セキュリティ演習として「レッドチーミング」があります。
本市としても、こうした手法を今後のセキュリティ強化の選択肢の一つとして検討されてはいかがでしょうか。
実施に向けた可能性や、外部専門人材を活用した継続的運用体制の構築について、どのようにお考えかご見解をお聞かせください。



サイバー攻撃への対策といたしまして、現在、主要な業務をインターネットから分離する「三層分離モデル」の整備により、外部からの侵入リスク低減を図っております。
そうした中で、レッドチーミングといった実践的検証の導入は、現時点では考えておりませんが、サイバー攻撃は、日々高度化・巧妙化していることから、引続き、外部専門事業者からの支援も活用し、持続可能なセキュリティ体制の構築に努めてまいります。



DXを持続的に推進していくためには、技術を導入するだけではなく、それを活用し、改善を継続できる人材の存在が欠かせません。
しかし現状、本市においては高度なデータ分析や、システム改善を自ら担える職員は限られており、そのほとんどを外部委託に頼らざるを得ない状況にあります。
外部委託はDXを効率的に進める上で欠かせませんが、委託先に任せきりになると、職員側に知見が残らず、改善や仕様変更のたびにコスト増につながる懸念がございます。
私がここで言う「内製化」とは、すべてを自前開発することではなく、職員が設計意図や仕様を理解し、委託先を適正にコントロールできる体制をつくることを指します。
本市として、データ分析研修やシステム担当職員の育成、民間との人材交流などを通じて、この「内製化的取り組み」を進めてはいかがでしょうか?
課題認識と今後の方向性についてお聞かせください。



人材面では、庁内全体のセキュリティを含むDX推進に向けた意識の底上げと、委託事業を適切に管理できる人材の確保、両面の課題がございます。
まず意識向上として、各所管のシステム担当者を対象とした内部研修等の充実を進めております。
また、人材確保として、令和3年度から情報技術に関する資格を有する人材を継続的に採用しております。
今後とも、これらの取組の成果を生かしながら、持続可能なDX推進体制の維持・強化を図ってまいります。
3回目の登壇 – 意見
※2回目の登壇時は、当該項目には触れませんでした。



PDCAサイクルを公開している事については、まぁ評価できるのですが、公開内容はかなり限定的でアウトカムの定義・全庁横断KPI設計・アーキテクチャ連動等には触れられず、少々残念でございます。
生成AIについては、既に市民サービスに移行している自治体もあるので、実証実験をずっと引っ張ってここまで来ましたが、もうそろそろ一歩先に進めてはと思うところです。
全体的には少し高いボールを投げさせていただきましたが、決して無茶なボールではありません。
今のIT技術の進展は、生成AIやクラウドをはじめ日々加速度的に進んでおり、また国際情勢や社会の変化も相まって、行政が活用できる技術は今後さらに多様化・複雑化していくことが予想されます。
その一方で、自治体が持つ予算や人的リソースは限られており、すべての新技術を網羅的に導入することは現実的ではありません。
だからこそ、投資対効果(ROI)や利用実績を踏まえた優先順位付け、業務棚卸しによる不要施策の見直し等、取捨選択を明確にし、限られた資源を最大限に生かして「市民にどのような成果を還元できるか」という視点を常に問い続けることが重要です。
行政におけるDXは、我が会派の同僚議員からも質疑で発言がありましたが、単なる効率化だけではなく、将来にわたって市民生活の質を高め、安心と利便を確保するための基盤であるべきと考えます。
今まさに変化の時代においてこそ、柔軟で持続可能なDX推進が求められており、また部分最適ではなく、全庁的なアーキテクチャの中で一歩一歩成果を積み上げていくことこそが、行政にも求められていると考えます。
本市におかれましても、不断の改善と挑戦を積み重ね、市民のために最適な形でデジタル技術を活用していただくことを強く期待しております。








