令和7年9月定例会 個人質問 トピックス
今回は「一括質問・一括答弁」形式でしたが、読みやすくするためセクションごとに区切っております。
「一括質問・一括答弁」とは…
一度登壇するとすべての質問を述べ、それに対して理事者が全ての質問に対して一度に答えます。
吹田市議会においては、この方式の場合3度まで登壇する事が可能となっております。
1回目の登壇 – 質問
高村まさとし共同親権の制度改正が令和6年5月に成立し、公布から2年以内、遅くとも令和8年5月までに施行されます。
共同親権とは、父母が婚姻しているかどうかに関わらず、子どもの利益を第一に、父母双方が親権を行使できる制度です。
これにより、子の養育に関する責任と意思決定を、父母が共同で担うことが明確化されました。
この制度改正は、学校現場にも影響を及ぼします。
学校行事への保護者参加、情報提供、面談など、父母双方が関わる場面が増え、学校としての対応がより重要になってまいります。
しかし現在本市は、行事参加の可否や入場手続きが学校ごとに異なり、同居親の同意を求める学校もあれば、祖父母は入れるが、別居親は入れないといった運用も存在するのが実態です。
こうした判断は校長の裁量に委ねられていることが多く、学校間で差が生じています。
また、実子連れ去りや親子断絶が背景にあるケースでは、父母間での協議が事実上困難となり、結果的に子どもの交流機会が一方的に制限されることもあります。
現状のまま共同親権が施行されると、過度に厳しい運用では親子の交流機会を不必要に制限するリスクが、また、逆に緩い運用では安全配慮の義務が問われるリスクが内在します。
これは法令適合性や説明責任の観点からも、課題といえるのではないでしょうか。
だからこそ、市としては、安全確保と父母双方の教育参加、そして子どもの最善の利益をどう両立させるかを検討し、統一的な基準や手順を整理して現場を支える体制を整えることが必要と考えます。
具体的には、DVなど明確な危険がある場合には厳格に制限する一方、それ以外は本人確認や事前登録、当日の動線管理などで必要最小限の制約にとどめる、いわゆるリスクベースの標準運用を市として整備する意義は大きいと考えます。
以上を前提として、以下お尋ねいたします。



現在、行事参加の可否や入場証の配布、当日の受付手順は学校現場に委ねられていると承知しています。
しかし、実態が明確でなければ、共同親権施行後の統一的なルール整備も進められません。
そこでまず、本市として各学校の運用実態をどの程度把握しているのか伺います。
校長へのヒアリング、アンケート、相談件数の集計など、具体的な把握手段と直近の結果があればお示しください。



教育監
親権の行使方法等の法改正における、各校の実態及び別居親からの行事参加希望につきましては、市教育委員会として、把握しておりません。



別居している親御さんから行事参加を希望する声は、全国的に見ると沢山あるので、本市においても一定数存在すると推測されます。
本市として、そのような事案を把握しているのか、また発生した場合に教育委員会として、学校へどのような助言や指導を行ったのか、具体例があればお示しください。



教育監
学校及び教育委員会が個別に相談をお受けした際には、学校から同居親に連絡し、親権者・非親権者間で協議した結果を、学校にご報告いただいた上で、対応させて頂いております。



参加可否や入場条件の判断は校長の裁量によるものか、教育委員会の内規・通知に基づくものか。
もし基準や文書が存在するならば、その内容と適用範囲をお示しください。
基準がない場合はその事実を含め、現状をお示しください。



教育監
行事等への参加の可否につきまして、学校は基本的に親権者の参加を認めるものではございますが、児童・生徒の安全確保の観点からも、別居親の行事への参加希望がある場合は、児童・生徒の意向確認も含め、同居親と事前に協議を行っていただき、学校に対してあらかじめ申し出てい ただく等が必要となります。



改正民法が明確にうたう「親権は子の利益のために行使される」という趣旨を踏まえれば、子どもの意思の把握は極めて重要です。
児童生徒が「両親とも来てほしい」と希望した場合、どのように意思を確認し、誰がどの手順で対応しているのか。
記録や判断の一貫性が担保されているかについてもご説明ください。



教育監
最終的には、親権者・非親権者間での協議結果に基づいた対応となります。
そのため、改正された法が施行された場合におきましても、親権者間で児童・生徒の健やかな成長と利益を最優先にして協議いただくことが最も大切で あると認識しております。
2回目の登壇 – 質問



「親権者間で協議いただくことが最も大切」とのご答弁がありましたが、現実を直視してください。
実子連れ去りや親子断絶が起きている家庭で、当事者同士の協議など成立しません。
協議ができる親であれば、そもそも深刻な対立には至らず、この場で問題提起する必要もありません。
結果的に、同居親の意向だけで判断が行われ、子どもの意向は形だけ確認されるにとどまり、親子断絶が固定化される――これが現場で起きている現実です。
共同親権が施行されれば、父母双方が親権者であることが前提となります。
同居親の同意を前提とした現行運用を続ければ、一方の親権者の意向で他方の親権者が事実上排除される可能性があり、子どもの最善の利益に反するおそれがあります。
市としても、結果的にそうした不均衡を容認する立場にならざるを得ず、法改正の趣旨との整合が問われることになるのではないでしょうか。
また、学校ごとの個別対応や校長裁量に委ねる運用も問題です。
基準も例外条件も示されないまま学校現場に丸投げすれば、学校間で対応がばらつき、苦情や訴訟リスクが増すだけでなく、校長や担任が板挟みになり精神的負担を強いられます。
本来、教育委員会が現場と子どもを守るために先頭に立って整理すべき課題です。
だからこそ、いま求められているのは、DVや接近禁止命令といった安全確保のための特別なケースを明確に定義し、その手続きや証明方法を定めること。
本人確認や動線管理の手順、子どもの意向の聴き取り方法、記録様式、異議申立手続を明文化し、学校が「基準に沿って判断した」と胸を張って言える仕組みを作ることです。
教育長に伺います。
現場に過度な負担を押し付けるのではなく、市が責任を持って基準と運用体制を整え、子どもの権利と安全、そして学校現場の安心を両立させる方針を明確にすべきではありませんか。
ご見解をお聞かせください。



教育監
親権者双方から矛盾した内容の意思が示された場合、親権者相互の人格尊重、協力義務の観点及び子の利益の観点 から協議することが望ましいとの見解が法務省から示されており、学校は親権者に事実関係を確認し、親権者の協議結果に基づいて対応させて頂くことになります。
なお、最終的に親権者双方の協議を経ても考えが異なる場合には、学校行事等において同居親が単独でその決定ができるとの法務省の見解を踏まえて対応することになり ます。



教育長
学校では、入学時あるいは新学期当初に、ご家庭から提出をされた書類にて、個々の児童生徒の保護者を確認しておりますが、その際に、親権の有無を確認することはなく、家庭の事情により、親権を有する父母と同居しないケースを含め、多様な家族構成に対応していることはご承知の通りでございます。
学校行事や個人懇談等は、確認をさせていただいたその保護者に通知した上で、各校において必要な対応をご家庭と決定している現状がございます。
今後は、ご質問の共同親権に係る法解釈、これをまずは学校が正しく理解すること、そのことで法が示す「子の利益」が確実に担保されるよう、校長指導連絡会等の機会を捉え周知に努めてまいります。。
3回目の登壇(意見のみ)



教育監の方から頂いたご答弁は、私の質問の主旨を理解されていないのか、正面から向き合って頂けていないと感じております。
法務省の見解に沿って運用するという姿勢は理解できますし、現行法においては妥当かもしれません。
しかし、私が質したのは「法務省の見解を紹介してほしい」のではなく、共同親権施行後の社会環境の変化を見据え、市としてどのように制度設計し、現場を支え、子どもの利益を守るかという未来に対する準備です。
共同親権の施行は、父母双方が子に対して養育責任を負うという社会の大きな転換点であり、学校現場に新しい判断や調整を求める局面を確実に増やします。
特に、実子連れ去りや親子断絶が生じている家庭では、当事者間の協議が成立せず、結果として一方の親が排除され、子どもの交流の機会が失われる現実があります。
また、DVや接近禁止命令など、子どもや同居家族の安全を最優先に確保しなければならない事案も存在します。
何度も言いますが…、
こうした安全確保と親の権利、子どもの利益の調整で、当事者間の協議が整わない場合、学校現場が結果的に最終判断を迫られる構造になっており、これは現場にとって過大な負担となります。
現場に負担を委ねるのではなく、教育委員会が一元的な基準と運用体制を整え、学校が安心して判断できる環境を作ることが不可欠です。
その際には、
・DV・保護命令などの高リスク事案を適切に切り分ける手順
・子どもの意向を安全かつ公正に聴取し、記録する方法
・実子連れ去り・親子断絶事案への対応ルール
以上の3点を明文化し、現場が「基準に沿った対応ができた」と説明できる仕組みを整えるべきです。
さらに、複雑な家庭状況や対立がある場合には、学校だけでは解決できませんので、家庭裁判所、子ども家庭センター、スクールソーシャルワーカーなど専門機関と連携できる仕組みを整備し、学校が孤立せずに対応できる体制を作る必要があります。
何よりも忘れてはならないのは、私たちが守るべきは「子どもの利益」であるということです。
親の対立や制度の空白に子どもを巻き込まないこと、そして学校現場が過剰な負担やリスクを背負わずに済むこと。
その両立こそが、市と教育委員会に課せられた責務だと考えます。
以上を踏まえ、教育委員会として、「把握していない」と答弁されていた現場の実態把握、そして共同親権施行に備えた基準づくりと安全管理体制、外部機関連携の仕組みを早期に検討し、現場と子どもを守る制度設計を進めることを求めます。










