目次
1. はじめに
行政視察二日目は、静岡県磐田市上下水道部を訪問し、株式会社天地人が提供する衛星データ×AIによる漏水リスク管理システム「天地人コンパス 宇宙水道局」を事例学習しました。
漏水リスクを面的に可視化し、精度の高い優先調査を可能とするこの取組は、コスト削減と調査効率の飛躍的な向上を実現しています。
現地では、上下水道部職員とシステム提供元の天地人社による座学講義を受け、導入経緯から効果測定、今後の課題に至るまで、非常に実践的な学びを得ることができました。
以下、自分の備忘録としても整理しておきたいと思います。
実は以前、このシステムについては注目しておりブログにも綴っております。
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2. 磐田市の水道インフラ概況と課題
- 管路延長/老朽化率
- 全長:1,385 km
- 法定耐用年数超過率:25.5%
- 耐震化率:24.7%
- 給水・有収率
- 1日配水量:約55,000 m³
- 有収率:83.3%(全国平均89%を下回る)
- 漏水対応件数・人員
- 年間漏水対応:約300件
- 水道事業職員:29名
- 吹田市との比較
- 吹田市は管路延長741 km、老朽化率39.1%ながら有収率95.7%、漏水115件・職員131名と人員体制に余裕がある一方、磐田市は限られた人員で年間300件の漏水を対応している状況です。
3. 「宇宙水道局」導入の経緯
- 従来の課題
- 聴音棒や目視による現地調査では、全市域の漏水調査に約12年・1億円弱の費用(年8,100 千円)を要し、時間的・財政的負担が大きかった。
- 新技術への挑戦
- 衛星観測データとAI解析を活用し、調査期間の短縮とコスト抑制を図ることで、有収率向上と老朽管管理の効率化を目指した。
4. 「天地人コンパス 宇宙水道局」の仕組み
- 衛星ビッグデータの収集
複数の人工衛星データ(地表面温度・地盤変動など)を取得し、気候変動影響も加味して管路ごとの漏水リスクを解析する プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES。 - AIによる5段階リスク評価
漏水発生履歴・管路属性・オープンデータなどをマルチモーダルAIで統合し、“100 m四方メッシュ”ごとにリスクを可視化 天地人コンパス 宇宙水道局。 - クラウド管理システム
Webベースの管理画面で、どこからでも評価結果や調査報告を確認・入力可能。現場調査との連携でナレッジ蓄積も実現。 - 優先調査点の絞り込み
高リスクエリアを自動抽出し、点検箇所を効率的に特定。
5. 導入効果と費用対効果
| 比較項目 | 宇宙水道局導入(R5–R6年度) |
|---|---|
| システム構築+使用料 | 8,085 千円+4,620 千円×5年=31,185 千円 |
| 現地調査費 | 8,100 千円×5年=40,500 千円 |
ポイント
- 導入後、漏水の発見は増えたものの、有収率の向上にあまり変化が見られず。
6. 漏水検知精度とモニタリング結果
- 発見率向上
- 令和2–4年度:距離392.5 kmあたり121件(0.31件/km)
- 令和6年度:距離38.3 kmあたり69件(1.80件/km)
→ 検知率6倍向上。
- 議会・市民評価
- 新技術導入は大いに評価され、市の将来インフラ管理に対する期待が高まっているとの声。
7. 今後の課題と展望
- 可視化されない効果
- 漏水件数抑制や収益改善など、目に見える成果を定量的に追跡する指標の整備が必要。
- 更なる技術検証
- 地上測定とのクロスチェック、流量計設置によるAI予測精度の強化を検討中。
- 組織体制の最適化
- 限られた担当者(29名)で5年分の調査を進めるため、システム運用部門と現地調査部門の連携強化が鍵。
さいごに
導入後の効果(有収率UP等)がまだ見られないというのは、例えば山間地や総管路の長さ等何か別の事情があるのかもしれません。
吹田市の有収率の高さ(約95%)から考えると、これまでの知識や経験、勘による漏水発見や管路の更新が今のところ奏功しているのかな。
それとも総管路が磐田市に比べて短く凝縮されているのも要因でしょうかね。
吹田市の職員さんの見解を聞いてみたいですね。
あと、いわた茶を頂きました(^^)
おいしかったです!ありがとうございました。
磐田市上下水道部の皆さま、並びに「宇宙水道局」を提供されている株式会社天地人のご担当者にも、心から感謝申し上げます。
限られた職員体制の中で、最新の衛星技術を活用した効率的なインフラ運用の取組を現場目線で詳しくご説明いただき、大変有意義な時間となりました。
今後の政策提案・地域課題の解決にしっかり活かしてまいります。


