「蛇口をひねれば水が出る」その当たり前を支える裏側に、今見直すべき課題があります。
高品質な水道サービスが未来も維持されるために、私たち一人ひとりの判断が試されていると感じています。

記事の説明
日本の上下水道システムは、世界的に見ても非常に高い水準を誇っており、ほぼ100%の普及率と安定した水質によって、私たちの日常生活を静かに支え続けています。しかしその裏側では、1960〜70年代の高度経済成長期に一斉に整備された水道・下水道インフラが、今まさに老朽化のピークを迎えつつあり、全国各地で設備の破損や事故が相次いでいます。
実際、埼玉県では老朽化した下水道管が原因とされる道路の大規模陥没事故が発生し、京都市でも水道管の破損による冠水が起きました。上下水道管は地中に埋設されているため外からの劣化状況の把握が難しく、事故が起きてからようやく問題が顕在化するケースも少なくありません。こうした中、自治体は莫大な維持管理コストに直面しており、予算・人員の制約の中で優先順位をつけて対応せざるを得ない現実に直面しています。
そのうえ、人口減少の影響で水道使用量は2000年をピークに減少に転じており、給水量も今後さらに縮小する見通しです。水道事業は基本的に独立採算制で運営されているため、収益が減る中で老朽化設備の更新費用をどう捻出するかという根本的な問題が横たわっています。
このような課題に対し、各地の自治体ではDXやAIを活用して老朽化の診断や効率的な点検を進めるなどの試みも始まっています。さらに、事業の効率化とスケールメリットを得るため、広域連携や民間委託(PPP・PFI)、企業化といった手法が導入されつつあります。実際に、一部自治体では自治体出資の企業が設立され、上下水道の運転管理を担う事例も登場しはじめています。
一方で、海外に目を向けると、イギリスのような完全民営化、フランスの長期民間委託、ドイツの広域連携など多様なモデルが存在しています。ただし、これらを日本にそのまま当てはめることには困難も伴います。日本は地震・台風といった自然災害リスクが非常に高く、インフラの維持管理にかかる不確実性も大きいため、民間委託における契約リスクや費用負担がネックとなるのです。
結果として、日本では「完全な民営化」よりも「自治体が責任を持ったまま一部業務を委託する方式」や「広域連携による効率化」が現実的な方向性とされています。また、水道料金のあり方や受益者負担の適正化も今後の議論の焦点となるでしょう。今後、インフラ維持のためには、行政の改革努力だけでなく、住民の理解と協力が不可欠となることが示唆されています。
高村の考え
持続可能な上下水道インフラの議論を通じて、私が改めて強く感じたのは、私たち市民一人ひとりの「意識」の重要性です。
水道というのはあまりに身近で、蛇口をひねれば水が出るのが当たり前のように思えます。
しかし、その「当たり前」は実は高度な技術と莫大なコストによって支えられています。
記事にあるように、老朽化や人口減少、さらには自然災害という複合的なリスクが重なった現状では、行政や企業だけでなく、私たち市民の受益者意識が求められます。
例えば、「水道料金の値上げ」についても、単なる負担増と捉えるのではなく、「将来の安心への投資」として捉える視点が不可欠まもかもしれませんね。
また、公共サービスを「無償の当然」と考える感覚から脱却し、持続可能な仕組みに再構築することが、これからの日本社会の成熟度を示すバロメーターにもなるでしょう。
将来世代に誇れるインフラと社会を引き継いでいかなければならないと感じました。