最近というか以前より、SNSを中心に「住吉市民病院の廃止は維新の失政だ」といった趣旨の投稿が散見されるようになっています。
しかし、これらの主張の多くは事実に基づいておらず、誤解やデマによるものであることが明白です。
今回は、あらためて住吉市民病院に関する正確な経緯と政策判断の背景を整理し、皆さまにご理解いただけるよう、丁寧にご説明いたします。
■【そもそも住吉市民病院は老朽化と機能不全に直面していた】
住吉市民病院は築60年以上が経過し、施設の老朽化が進行していました。
その一方で、利用者数は年々減少し、病床利用率も6割を下回るという状況にありました。
こうした背景を受けて、平松邦夫市長の時代(維新発足以前)に、同病院を「小児・周産期医療に特化させる」方針が策定されていたのです。
つまり、住吉市民病院の在り方についての見直しは、維新政権より前に既に始まっていたということです。
■【橋下市長による再検討:13km先の搬送リスクを是正へ】
その後、橋下徹市長の就任により、前市政が打ち出していた計画の実現性と医療的安全性が再検討されました。
とくに問題視されたのが、出産時にトラブルが起きた際、母子を13kmも離れた都島の大阪市立総合医療センターに搬送しなければならないという極めて脆弱な医療体制です。
これに対して、大阪府立急性期・総合医療センターと住吉市民病院の機能を統合することで、より高度な小児救急・周産期医療を実現しようという計画が立てられました。
これは決して「廃止」ではなく、「再編と強化」であるという点が重要です。
■【コロナ対応の論点:住吉市民病院には感染症機能がなかった】
SNSなどで「コロナ禍で病院が足りなくなったのは、住吉市民病院を廃止したからだ」という主張もあります。
しかし、これは完全に事実誤認です。
住吉市民病院には感染症に対応できる病床が設けられておらず、そもそもコロナ専用病院としての機能は持ち合わせていませんでした。
残っていたとしても、感染者の受け入れはできなかったのです。
さらに、感染症病床を有していた大阪市立北市民病院が廃止されたのは2010年、民主党政権下・平松市政時代であり、維新政権の政策とは無関係です。
これもまた、誤った情報が拡散されている典型例といえます。
■【医療機能の統合で、より現実的かつ未来志向の体制へ】
現在進行中の再編計画では、住吉市民病院の機能は「住吉母子医療センター」として再構築され、府立急性期・総合医療センターに隣接して設置されることとなっています。
この新病院では、小児救急やハイリスク分娩などにしっかり対応できる高度医療体制が確立されるだけでなく、重度の心身障害をもつお子様の受け入れなど、より充実した医療支援が実現します。
さらに、住吉市民病院跡地には、大阪公立大学附属病院(旧・大阪市大)が新設される予定で、同病院は認知症・小児・産科の外来診療を担当。
地域医療の役割分担が進むことで、より効率的かつ専門的なケアの提供が可能となります。
■【結論:病院は“数”ではなく“機能”で考えるべき】
「病院を増やせば医療が強くなる」という単純な発想では、もはや現代の医療体制は成り立ちません。
重要なのは、「限られた医療資源をいかに有効に活用し、質の高い医療機能を維持・強化するか」です。
住吉市民病院の再編は、その理念に則った現実的かつ持続可能な医療政策の一環であり、「廃止ありき」ではなく、「医療機能の強化と最適配置」を目指したものです。
住吉市民病院の件は以上です。
これからも、正確な情報に基づいた冷静な議論が行われることを強く願います。