地域ブランドの成功には、市民の共感が不可欠です。高松市の新ロゴを通じて、その重要性を改めて考えさせられました。

記事の説明
高松市は20日、新たなロゴマークを発表しました。これは15年ぶりの刷新となるものですが、当初のデザインに含まれていたキャッチコピー「とにかく きょうも みんな たのしそう」は削除されました。理由として、市が実施したパブリックコメントや学生とのワークショップで批判的な意見が多かったためです。
市はロゴマークやキャッチコピーを公募せず、電通西日本高松支社に968万円で制作を依頼。昨年12月に発表された案は、淡い青色の背景にオレンジ色で「TKMT 高松」と表記され、アルファベットの中にキャッチコピーが白文字で埋め込まれていました。
公表後、市は香川大学や穴吹デザインカレッジの学生らとワークショップを開催。ロゴマーク自体には「使いやすそう」「言葉遊びがおもしろい」と一定の評価がありましたが、キャッチコピーに関しては「高松らしさがない」「説明しないと趣旨が分からない」といった否定的な意見が多く寄せられました。
また、市が1カ月間募集したパブリックコメントでも、48人から149件の意見が寄せられ、「メッセージ性が薄い」「稚拙なポエム」といった批判が相次ぎました。その結果、市はキャッチコピーを制定せず、ロゴマークにも埋め込まないことを決定しました。
同市長は「最初は意味が分からなかったが、今は面白いと思っている。公募で選んでいたら、このデザインにはならなかっただろう。成功するかどうかは半々」と語りました。
高村の考え
今回の高松市の新ロゴマークですが、デザインを見た瞬間、正直なところ「ホンマにこれでええんかな?」と思いました。
メッセージ性が希薄で、視覚的なインパクトも弱く、どうしてこのデザインに決まったのかが分かりにくい。
キャッチコピーについても、批判が多かったのは納得できます。というのも、自治体のロゴやキャッチコピーは、その地域のアイデンティティや方向性を示す大切な要素です。しかし、今回のものは「何を伝えたいのか」が不明確すぎる。
特に気になるのは、ロゴマークやキャッチコピーを公募せず、大手広告代理店に委託して作成した点です。968万円という予算をかけたにも関わらず、最終的に市民の共感を得られなかったというのは、市のブランド戦略としても失敗と言えるんじゃないでしょうか。公募すれば必ずしも良いものが生まれるとは限りませんが、少なくとも市民の意見を幅広く取り入れるプロセスが重要だったのではないでしょうか。
また、ロゴマークは比較的簡単に作成できるものの、その分「安易なデザイン」が世に出回りがちです。特に自治体のロゴは、長期間使用されるため、慎重に設計する必要があります。今回のデザインを見る限り、「プロに任せたから大丈夫」という安易な考えがあったのではないかと感じます。本来であれば、ブランディングやデザインに精通した専門家とともに、市民の意見をしっかり取り入れながら作り上げるべきだったでしょう。
ロゴマークの成功には、単なるデザインの良し悪しだけでなく、どれだけ市民に受け入れられ、愛着を持ってもらえるかが鍵になります。今回のように、パブリックコメントやワークショップで批判的な意見が多かったにも関わらず、強引に進めた結果、キャッチコピーを削除するという後手の対応になったことは、市のブランディング戦略の甘さを露呈したと言えます。
今後、他の自治体もロゴ刷新を検討する際には、より多くの市民の意見を取り入れ、ブランドの方向性を明確にすることが重要でしょう。「見た目のデザイン」だけでなく、「メッセージの意味」をしっかり考え、地域の特色を活かした市民に愛されるロゴ作りを期待したいところですね。
—- 2025/03/17 追記 —-
本日読み直すと、なんか誤解が生まれそうな文章ですので、追記させて頂きます。
本記事では率直な感想を述べましたが、関係者の皆さんのご努力には敬意を表します。最終的に、市民の皆さんが愛着を持てるロゴになることを心から願っておりますし、そのための議論が活発に行われることは、とても意義のあることだと考えています。