4.CIOとCDO
本市は、これまでにICTの活用が着実に進んでおり、教育の現場でも少しずつですが成果を上げてきました。
オンライン授業の導入や、デジタル教材の利用、ICT機器の整備など、これらの取り組みは学びの質を高めるだけでなく、子どもたちに新しい学習の機会を提供しております。
今後、ICTの活用が進んでいく中で、次なる重要なステップとして、さらに高度なデジタル戦略を策定し、実行することが求められてきます。
持続可能で効果的なICT運用を確立するためには、専門的な知識と戦略的な視点を持ったリーダーシップが必要と考えますが、本市における「教育CIO」「学校CIO」「CIO補佐官」の設置については、どのようなお考えをお持ちか、お聞かせ願います。
教育監
学習用端末及びネットワークの更新に際して、教育CIO、学校CIO、CIO補佐官の設置は検討しておりませんが、教育委員会及び学校関係者に専門的なアドバイザーを加えた検討会議を設置し、学校の実態を把握するとともに専門家の助言を頂きながら児童・生徒の学びの質を高める持続可能なICT活用に向けた検討を進めてまいります。
本市の学校における、ICT環境の戦略的整備、ICT活用による教育効果の評価とモニタリング、デジタル教材およびコンテンツの選定基準、情報セキュリティポリシーの策定、情報漏洩事故等発生時の対応や責任の所在は、現在どのようになっておりますでしょうか?
各項目について具体的にお聞かせ願います。
教育監
ICT環境の戦略的整備、ICT活用の実態把握、デジタル教材及びコンテンツの選定につきましては、各校の活用状況を把握しながら、専門家の助言を参考に、教育委員会が主体となって取り組むものと認識しております。
情報漏えい事故等の発生時の対応につきましては、情報システムなどの管理運営の責任者が規定されている吹田市情報セキュリティーポリシー及び吹田市教育情報セキュリティーポリシーに基づき、適切に対応してまいります。
副市長が務めておりましたCIOとしての役割と、現在CDOになられましたが、CDOの役割をそれぞれお教え願います。
また、肩書を変更された理由、具体的な責任範囲や業務内容が変わるのか、併せて明確にお教え願います。
行政経営部長
昨今、いわゆる自治体DXが求められる中、本市では、従来の情報化推進計画を大きく見直し、本年4月、吹田市デジタル政策を策定いたしました。
本政策は、従来、主に業務効率化等の観点から捉えられてきたデジタル技術活用の取組につきまして、今後は、業務や事業自体の価値を向上させていけるよう取り組んでいくことを目指すものでございます。
こうした大きな見直しに伴い、担当所管としての情報政策室を、よりふさわしい名称としてデジタル政策室に変更し、それに併せてCIO、チーフ・インフォメーション・オフィサーの名称につきましても、CDO、チーフ・デジタル・オフィサーに改めたものでございます。
名称変更により役割が直ちに大きく変わるということではございませんが、本市のDX推進の最高責任者として大きな役割を果たしていく、その職責にふさわしい名称へと見直し、政策や組織の名称とも整合性を持たせたものでございます。
肩書を変更されたことや、その役割等について、議会や市民にどのような形でお知らせされたのでしょうか?
周知方法や内容についてお教えください。
行政経営部長
CIOからCDOへの改称につきましては、庁内の推進体制に係る見直しであり、市民や議会への直接的な周知等は行っておりません。
対外的には、CDOへと名称を見直す契機ともなりました吹田市デジタル政策の策定をしっかりとお知らせをしていきたいと考えております。
今年度、議員各位への通知、市ホームページへの掲載をしており、今後さらに、ユーチューブでの動画配信やデジタルサイネージへの掲出等、様々な手段により広く市民周知を図っていくことを計画いたしております。
長らく最高情報責任者(CIO)を兼任していた副市長ですが、この4月から人知れず最高デジタル責任者(CDO)という新たな肩書に変更されました。
しかし、副市長が肩書を変えたにもかかわらず、副市長の実際の業務内容やアプローチに変化が見られないことは、市民に対して説明責任を果たしていないと言わざるを得ません。
これでは、ただ単に肩書を変更しただけで、市のデジタル化が進展することは期待できないと見られても仕方ありません。
副市長が、デジタル変革に関する具体的なビジョンや計画を持たないままCDOに移行したとなると、役職変更の妥当性が疑われる可能性もあるわけです。
春藤副市長にお伺いいたしますが、CDOとして、今後の本市が進むべき姿、具体的なビジョンや計画等について、ご自身の言葉でお示し願います。
行政経営部長
今般策定しました吹田市デジタル政策では、今年度から令和10年度(2028年度)にかけて目指す未来の姿として、人とつながる、全ての人に優しいデジタルシティを掲げ、その実現に向けて五つのビジョンを定めております。
今後、行政サービスをもっと便利に、デジタルサービスを全ての人に、人材と財産の無駄のない活用、安全で安心できるセキュリティー対策、多様なコミュニケーションの創造という五つのビジョンに沿いまして、CDOの指揮、統率の下、全庁を挙げて具体的な施策の推進を図っていくことで、市全体のデジタル化を促進していきたいと考えております。
春藤副市長
今後、デジタル技術の進展に伴い、市民生活が根本的に変わっていくと考えております。
市民サービスの提供方法の見直しはもとより、職員の働き方や組織の在り方についても、大きく見直しを図っていく必要があると考えております。
デジタル技術が果たすべき大きな役割を強く意識しながら、将来にわたり本市が住みやすく利便性の高い選ばれる自治体としての価値を高めていけるように、取組を加速化させていく所存でございます。
漠然とした答弁でした…。
私の認識しているCIOとCDOの役割については以下の通りです。
CIOは情報技術(IT)の戦略的運用を担当し、組織の情報システムの管理・改善に尽力し、ITインフラの最適化やセキュリティの確保、業務効率の向上を推進し、行政として高く掲げる目標を支えるための、堅実なIT基盤を構築します。
CIOは「守りの要」として、組織全体のIT資源を効果的に運用し、安定した運営を実現するものであります。
一方、CDOはデジタル変革の旗手として、デジタイゼーションだけではなく、市全体のデジタライゼーションを推進する役割を担います。
CDOは最新のデジタル技術を駆使し、業務プロセスの革新や、データドリブンな意思決定、カスタマーエクスペリエンスの向上を目指します。
CDOは「攻めの司令塔」として、デジタルイノベーションをリードし、本市の競争力を飛躍的に向上させるための、新たな事業戦略や収益構造を創出します。
かなりコンパクトにまとめましたが、このあたりにも少しでも触れてご答弁が必要だったのではと思いますが、軽く触れられた程度でした。
それから、「肩書の名称変更で、役割が直ちに変わるものではない」とありましたが、私は結構変わると思いますし、変わらなくてはいけないと思います。
また、特に肩書の変更による周知がなく、情報政策室がデジタル政策室に変わったからと、CIOもCDOに、単純に人知れずしれっと変更されたように、私どもは受け取っており、一連について軽く見すぎていると指摘しておきます。
副市長はCIO補佐官との会議体に、ほとんど出席されていないと聞いております。
また、これまでのやり取りを見てご理解いただけると思いますが、今回の役職名の変更の実態は、その役職が形骸化していると感じますし、ご答弁頂いた内容やその役割については、CIOの時とそれほど変わりはありませんでした。
「いや、変わるんだ、違うんだ」と主張されるならば、逆にCIOの時は一体何だったのか?という矛盾が生じます。
次に市長にお伺いいたします。
副市長としての手腕に比べると、この肩書「CDO」としての手腕を十分に振るうことが果たしてできるのか、このままでは、あまり期待はできないのではないでしょうか? 「CDO」という重要な役割が、行政経営部を担当する副市長に自動的に割り振られる、いわゆる「充て職(あてしょく)」ということではなく、改めてCDOにふさわしい人材を配置する事を検討されてはいかがでしょうか?
市長のご所見をお聞かせください。
今、御質問、御指摘をお聞きしながら考えておりました。デジタルとは何かということなんですけれども、デジタルに対応する言葉、対抗する言葉としてはアナログということがあります。
今、デジタルドリブンという言葉がありました。
一方で、ガバナンスドリブンっていうのを、市役所、これは市役所の命です。なぜかと言いますと、毎日のように今も市民の方々が多く来られて、様々な手続、それから御相談にも来られます。
地域のお住まいの方々が、最初に頼りにされるのが、出張所であり市役所の各公共施設にある職員、また指定管理もしておりますが、非常にアナログな世界です。
さてこれが、10年後にデジタル社会になるのか。
デジタル技術が10年後にどうなるのかっていうのは、私にははっきり想像できません。
日進月歩です。
ここにおられる皆さんも、誰一人想像できない世界が来ます。
ただし、人間の10年後は私は読めます。
そう変わるもんではありません。
そのときに、人と人とのつながりというのは、あくまでもアナログです。アナログよりデジタルが優れてるというような考え方は、私は誤りやと思ってます。
その証拠にオフィスがどんどんデジタル化されて、対面コミュニケーションが急激に減って、実はオフィスの生産性が低下をしたという事例がたくさん見られます。
そこで、経営者は何をしたかというと、職場の飲み会を奨励するために補助金を出して、帰り、職場で飲んで帰ってくれと。
それによって一気にコミュニケーションが広がって生産性が回復した。
それが職場旅行であるとか、運動会であるとか、我々がもうそんなんなかったらええのになと思ってたやつが、今Z世代、その新Z世代の中で復活しようとしている。
より戻しが来ていることを感じます。
CDOに関して、それは充て職なのか、専門職雇用なのか、極端に言うとそういうことなんですけれども、専門職の専門って何の専門かっていうところです。
アナログの重要性に対する深い造詣を持たずして、多様な市民に寄り添う使命を持つこの公共職場において、安易にデジタルを語らないでほしいと私は思います。
経済的、時間的な効率性を確かにデジタルは上げます。ただし、その効率性を上げたことが、効果性と一対一で対応しているのか、これはものによって違います。
我々は既にデジタルをたくさん使ってます。
しかし、使うべきではないところがある。
これが今後、どう変遷していくかっていうのをしっかりと見定めるガバナンス能力のある人間が、私は充て職として、その地位について、専門性については、そのときそのときに外部から知識を頂ければいい。
内部に入ってその役を果たす、デジタルの専門家が果たすっていうのは私は違うんではないかと。
これは現段階での私の感想です。
めちゃくちゃ長い答弁で、長すぎて言ってることがよくわからなかった…。
ガバナンスドリブンというと言葉がありましたが、おそらく副市長という肩書の守備範囲のことかなと思います。
今回、話さてもらってるのは、また別の役割ということで、あんまりデジタルのことを語ってほしくないような感じの話もありましたけれども、今回はそのテーマで質問させてもらってるので、もうちょっと芯を食った答えが欲しかったなというところであります。
副市長に対する市長からの期待値が謎に高いようですので、これから私も、高い期待値をもって一層厳しくチェックしていきたいと思います。
また、CISO(セキュリティの最高責任者)についても兼務されているようですが、「全てのネットワークや、情報システムなどの情報資産の管理、及び情報セキュリティ対策に関する、最終決定権限を持つ立場」と本市では明文化されております。
このため、重大なセキュリティ事案が発生した場合の責任も重たく、「私はあまり知りませんねん。細かいことは担当課、担当職員に確認してください」では、CISOは失格です。
このあたりについても、今後厳しくチェックしていきたいと思います。