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三重県松阪市の主要な3つの病院が、2024年6月1日から、救急車で運ばれたが入院しなかった軽症患者に対して、7700円の費用を徴収することを決定しました。
この措置は、救急出動件数の増加により、救急医療体制が逼迫することを懸念し、軽症者の救急車利用を抑制する目的があります。
市民の中には賛否両論の声があります。
対象病院は、済生会松阪総合病院、松阪中央総合病院、松阪市民病院であり、軽症患者からは紹介状なしで受診した場合に「選定療養費」として7700円を徴収します。 学校での熱中症や交通事故の場合は対象外です。
このような取り組みは、伊勢赤十字病院で2008年から行われていますが、地域の基幹病院が一斉に行うのは全国的に珍しいです。 松阪市の調査によると、2022年4月から6月の期間で、3病院に救急搬送された患者の入院率は、平日昼間で50.6%、休日・夜間で37.1%でした。
松阪地区広域消防組合は、松阪市、多気町、明和町の1市2町をカバーし、2022年には救急車の出動件数が1万5539件、昨年は1万6180件と過去最多を更新しています。
この増加ペースが続けば、救急の現場は非常に厳しい状況になります。
総務省消防庁のデータによると、救急車が現場に到着するまでの平均所要時間は2002年には6分18秒でしたが、2022年には10分18秒となり、心肺停止後の生存率に影響が出るとされています。
市民の意見は様々で、有料化に賛成する声もあれば、軽症か重症かを判断するのは難しく、7700円が高額であると懸念する声もあります。
関西大学の永田尚三教授は、松阪市の対応を「苦肉の策」と理解しつつも、救急車を呼ぶべきか迷った際の相談体制の充実が必要だと指摘しています。
高村の考え
今回の松阪市の取り組みについて、理解できる部分もありますが、解決すべき課題も多いと感じます。
特に、救急車を呼ぶべきかどうか迷った時の相談体制の充実が最優先です。
軽症か重症かの判断は一般市民にとって難しいことであり、その結果として救急車を呼びにくくなることが懸念されます。
相談体制の強化により、市民が適切に判断できる環境を整えることが重要です。
具体的には、電話相談やオンライン相談など、迅速かつ的確に対応できる体制を整備することが求められます。
また、市民への周知徹底も必要であり、広報活動を通じて、適切な利用方法を啓発していくことが大切です。
救急医療体制の逼迫を防ぐためには、市民の協力が欠かせません。
一方で、市民が安心して救急サービスを利用できるような環境づくりも同時に進めるべきです。
行政側と市民が一体となって、持続可能な救急医療体制を築いていくことが求められるのでしょう。