吹田市議会建設環境常任委員会の視察1日目は、千葉市へ赴き「ドローンを活用した大規模雨水貯留施設の点検について」学んできました。
インフラの老朽化対策と最新技術(DX)を掛け合わせた非常に興味深い取り組みでしたので、その詳細についてざっくりご報告します。
■ 千葉市の下水道の現状と従来の課題
千葉市が管理する約3,800kmの下水道管路は老朽化が進んでおり、標準耐用年数である50年を経過する管路が、10年後には現在の約475kmから約893km(全体の約23%)へと急増する見込み。
千葉市では計画的な維持管理に取り組んでいますが、管内の流量が多い、水流が速い、常時滞水しているといった現場では、従来の「潜行目視」や「TVカメラ」による点検・調査が困難であるという大きな課題を抱えていたとのこと。
■ ドローン活用のきっかけと超小型ドローン「IBIS2」
どうすれば困難な点検が可能になるのか。
そこで千葉市が着目したのが、飛行式ドローンなどの新技術(DX)です。
今回の点検で活用されたのは、千葉市に本社を置く株式会社Liberaware(リベラウェア)が開発した国産の小型ドローン「IBIS2」。
この機体はサイズが20cm、重さ243gと世界最小・最軽量クラスでありながら、GPSが利用できない暗所や閉鎖空間、粉塵・水滴のある過酷な環境でも安定して飛行できる特殊な技術を備えています。
■ 実証実験からトライアル発注での実践へ
導入への道筋として、千葉市はまず自市の「こてはし台雨水貯留管」を実証フィールドとして企業に提供し、雨水貯留管内での電波試験や飛行性能、点検手法の有効性を検証。
その成果を踏まえ、市内の中小企業を支援する「千葉市トライアル発注認定事業」を活用して、内径5,050mmの「宮崎雨水貯留幹線」にてドローンによる点検を実践されました。
■ ドローン点検がもたらした大きな成果
実践の結果、当初は200mの点検予定でしたが、大きく上回る660mの距離まで飛行し点検を行うことができたそうです。
また、大口径の管路では従来足場を組まなければ確認できなかった管路上部に対しても、ドローンが10cmの距離まで接近して状況を確認できるなど、管路の損傷有無を確認する手法としての有効性が実証されました。
■ 今後の課題と「管内 No Entry」の実現に向けて
一方で実用化に向けた課題も。
現在のドローン点検では損傷の有無は確認できるものの、ミリ単位でのクラック(ひび割れ)幅の計測や、損傷箇所の正確な位置特定といった詳細調査にはまだ対応できていません。
また、長距離飛行のためのバッテリー性能や、管内での通信環境の確保といった技術的課題もあるようです。
今後は国が示す「管内 No Entry(人が立ち入らずに点検を行う)」の実現に向け、千葉市は国土交通省の「ABクロスプロジェクト」に参画し、民間企業と連携しながら「ドローンによる管内撮影×AIによる画像解析」を組み合わせた実証事業に取り組んでいくとのことです。
安全性の向上と効率的な維持管理に向け、雨水貯留管の点検へドローン活用を進めていく方針との事で、引き続き注目していきたいと思います。