教育現場でのICT化は必要不可欠。しかし、個人情報漏えい問題が相次いでいる現状について考えてみました。
記事の説明
教育現場でのICT化が進む中で、クラウドを活用した情報共有が教育の質を高める手段として注目されています。しかし、富山県内の学校ではクラウドの誤った使い方による児童・生徒の個人情報漏えいが相次ぎ、大きな問題となっています。例えば、富山北部高校では生徒19人分の名字と成績が他の生徒から閲覧可能な状態になり、堀川南小学校では児童の「いじめに関するアンケート結果」が共有されてしまいました。これらは教員がクラウド操作を誤ったために発生したものです。
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」により、児童・生徒が1人1台の端末を持ち、ICT化が急速に進んでいます。クラウドを使えば、リアルタイムで情報共有が可能となり、授業の効率化や学びの幅を広げることができます。例えば、道徳の授業では児童たちがクラウド上で意見を共有し、互いに考えを深めることで学習が豊かになります。また、教員にとってもクラウドを活用することで、授業や施設利用の情報を一元管理できるなど、負担軽減につながるメリットがあります。
しかし一方で、ICT活用のための十分な研修が行われておらず、現場の教員たちからは困惑の声が上がっています。特にクラウドの利用ルールが曖昧なため、「何が個人情報で、何が共有してもよい情報なのか」の線引きが難しいという現状があります。専門家は「教員に対するITリテラシー教育の充実と、システム自体に安全対策を講じることが不可欠」と指摘しています。
高村の考え
ICT化が教育現場にも急速に浸透しているのは良いことですが、今回の記事を読んで感じたのは、「人」に対する支援が追いついていない現実です。技術が便利であることは間違いありませんが、それを使いこなすための研修が不足している状況では、現場が混乱するのも無理はありません。今回の情報漏えい問題も、クラウド操作のミスが原因となっていることから、教員のICTリテラシー向上が急務だと痛感します。
ただ、現場の教員だけに責任を負わせるのは酷だとも思います。新しい技術を導入するときは、「とりあえずやってみよう」という楽観的な方針だけでは問題が起こるのは当然です。現場は「何がNGか」「どこまでOKか」の線引きが曖昧なまま手探りで運用している状態です。これでは、本来業務である教育そのものに集中できず、クラウドの活用が「負担」になりかねません。
ここで必要なのは、「システムそのものを改良し、ミスを防ぐ仕組みを作ること」と「現場が実践的な研修を定期的に受けられるようにすること」の両立でなないでしょうか。
例えば、ファイル名に「取り扱い注意」と付ければクラウドへのアップロードができない仕組みや、個人情報を検知するAIを活用するなどのシステム対策が考えられます。システム側で防御を固めると同時に、現場に寄り添った段階的な研修を行えば、現場の混乱は次第に解消されていくはずです。
また、個人情報保護の観点からすれば、クラウド上でどのような情報を扱うべきかのガイドラインをもっと具体的に示す必要があります。
ICTの導入は教育の質を飛躍的に向上させるポテンシャルを持っていますが、その土台が不安定なままでは本末転倒です。
現場で頑張っている教員が困惑するのではなく、安心して活用できる環境を作ることが今求められていると感じます。