子どもたちが安心して過ごせる場所、それが本当の「学び」のスタートライン。
学校という枠組みを超えた自由と多様性が未来を創るのかもしれません。
記事の説明
岐阜市立草潤中学校は、中部地方で初の「学びの多様化学校」として、令和3年4月に設立された公立の中学校です。
この学校は、従来の「学校らしさ」を取り払った新しい形の教育を提供し、不登校の経験がある子どもたちを対象にしています。
その特徴的な施策や校内の環境は、多くの注目を集めています。
草潤中学校は、廃校になった小学校の校舎を利用しており、「学校らしくない学校」というコンセプトを掲げています。
制服や校則はなく、子どもたちは校内のどこで過ごしても自由です。
また、教室の名称も「森」「川」「海」といった自然をイメージした名称が使われるなど、ユニークな工夫が施されています。
子どもたちは自分の気分や体調をタブレットで記録し、安心して過ごせる環境が整備されています。
学びの多様性に関しても、個別のペースに合わせた授業や「学び直し」のための「マイスタディ」などが用意されています。
音楽や美術、技術家庭科を選択できる「セルフデザイン」や、1日の振り返りや計画を立てる「ウォームアップ」など、子どもたちが自ら学びのプランを作ることをサポートする仕組みが特徴的です。
また、子どもたちが安心して自己表現できるよう、環境にも工夫が凝らされています。
図書室にはソファやテントが置かれ、リラックスできるスペースが確保されています。さらに、トイレやギフティッドルームといった施設にも細かい配慮がされています。
この学校の卒業生は、通信制高校など、自分に合った進路を選ぶことが多く、自らのライフスタイルや目標に基づいて選択する力を身につけています。
草潤中学校の取り組みは、全国の学校の在り方に大きな示唆を与えるものです。
高村の考え
この草潤中学校の取り組みは、教育に対する新しい価値観を提示しており、大変興味深いと思いました。
「不登校特例校」としてではなく、「学びの多様化学校」という形に進化した点も、社会全体の理解が進んできた証拠と言えるでしょう。
学校が「子どもに合わせる」という理念は、不登校の子どもたちに限らず、すべての子どもたちが安心して学べる環境づくりにおいて重要ではないでしょうか。
不登校経験者の多くが「安心感」を求めているという現実に対し、校内の環境や寄り添う先生方の存在が支えになっているのは素晴らしいことです。
この「安心感」が自己肯定感の回復や新しい挑戦への意欲を引き出す鍵となるのでしょう。
また、興味深かったのは「セルフデザイン」や「マイスタディ」といった個別学習の仕組みです。
特に、英語や数学などでつまずきを取り戻す「学び直し」のプログラムは、教育改革の中でも最も重要なテーマの一つだと感じます。
学習の遅れや苦手意識が子どもたちの未来を狭めないよう、柔軟で多様な選択肢が用意されている点に感銘を受けました。
一方で、こうした取り組みを全国に広げるためには、予算や人材の確保、理解促進など、多くの課題も残されていると感じます。
特に、個別対応を行うには、教師の負担軽減や専門性の高いスタッフの確保が不可欠です。
行政としても、こうした取り組みを支援する体制づくりに力を入れる必要があります。
草潤中学校のようなモデルが増えることで、「学校」という枠組みが多様化し、すべての子どもたちにとって学びやすい環境が整うことを期待しています。
吹田市においても、こうした視点を取り入れた教育改革を進めていけるのか、調査・勉強をしていきたいと思います。
