デジタル化が進む中、学校現場でもITツールの活用が増えています。しかし、それに伴うリスク管理は十分でしょうか?

記事の説明
富山市の小学校で、いじめに関するアンケートの結果が児童に閲覧可能な状態になっていた問題の続報です。本来、情報端末を使ってアンケートを入力させることは禁止されていましたが、市内19の小中学校でこのルールが守られていなかったことが明らかになりました。
市の教育委員会は臨時の校長会を開き、校長や園長ら約90人に対して、個人情報の管理について厳重な注意を促しました。教育長は「今回の漏えいを組織全体の問題と受け止め、信頼回復に努めるように」と述べました。
問題となったのは、富山市の堀川南小学校で実施されたGoogleフォームを利用したアンケートです。教員がURLの配布方法や編集権限の設定を誤り、326人分のアンケート結果が一時的に他の児童にも見られる状態になっていました。この小学校では昨年10月にも同様の問題が発生していました。
また、市内の小学校17校と中学校2校では、ルールで禁じられているにも関わらず、児童の個人情報を含むアンケートを情報端末で実施していました。富山市教育委員会は、今後、教職員向けの研修を見直し、内容を充実させることで危機意識を高める方針です。
県内では、教育用クラウドを通じた個人情報の漏えいが、今年度に入って県立高校でも3件発生しており、学校現場の情報管理の甘さが問題視されています。
高村の考え
この問題の根本には、教職員のリテラシー不足があると言わざるを得ません。
Googleフォームの設定ミスによる情報漏えいは、基本的な知識があれば防げるはずの問題です。
しかも、昨年10月にも同じようなミスをしているにもかかわらず、適切な対策が取られなかったことは重大です。
教育現場においては、デジタルツールの利便性を活用すること自体が悪いという話ではないので誤解はしてほしくありませんが、今回のケースは、個人情報を扱う際のリスク管理が徹底されていなければ、今回のような事故が繰り返されてしまいます。
富山市教育委員会は「教職員の研修を見直す」としていますが、単なる座学の研修ではなく、実際のシミュレーションや具体的な設定ミスの事例を用いた実践的な研修を行うべきですね。
また、教育現場ではITリテラシーが高い人材が不足していることも問題の一因でしょう。
企業では情報管理の専門家がシステムを監視し、定期的にセキュリティチェックを行うのが当たり前ですが、学校ではそのような仕組みが整っていないケースが多いのが現実です。
今後、学校ごとに「情報管理責任者」を置き、継続的にリスクマネジメントを行う体制を作るべきではないでしょうか。
加えて、富山市教育委員会のルールに「いじめに関するアンケートをクラウドに保存してはいけない」とあるのなら、それが実際に遵守されるような監視・指導の仕組みも必要です。
単に禁止するだけではなく、「どうすれば安全にデータを管理できるか」という視点を持ったルール作りが求められます。
今後、教育現場におけるデジタル活用は避けられません。
だからこそ、教職員のITリテラシー向上が急務なんです。
しっかりとした研修と実践的な指導が行われなければ、また同じ問題が繰り返されるでしょう。
教育委員会や学校は、形式的な対応ではなく、根本的な意識改革を進めるべきだと思います。