静岡市の62億円事業、歴史博物館の再出発に向けた課題

ちょっと面白い記事を拾いました。
静岡市の博物館ですが、このまま放っておくのではなくて、レプリカに頼らない展示内容の充実や、家康の外交や文化財に焦点を当てた、駿府時代の意義を再評価して、再出発する事が重要になると思います。

記事の説明

静岡市が2022年7月にプレオープンし、総事業費62億円をかけて建設された「歴史博物館」は、2023年度の有料入館者が8万3千人にとどまり、大失敗に終わりました。 当初、博物館はNHK大河ドラマ「どうする家康」の放映を契機に年間50万人の入場者数を見込んでいましたが、結果としてその目標を大きく下回り、目標の6分の1以下という結果となりました。

歴史博物館は、徳川家康が築いた駿府(現・静岡市)と彼の歴史的つながりを強調し、観光誘致の中核施設として大きな期待を背負っていました。 家康が埋葬された久能山東照宮が60万人もの参拝客を集めたのに対し、歴史博物館はわずか8万人の来館者にとどまりました。 この大きな差は、展示内容に原因があると考えられています。

特に批判を受けたのは、目玉展示が家康ゆかりの久能山東照宮所蔵の歯朶具足(国の重要文化財)のレプリカであったことです。 本物が東照宮に存在するにもかかわらず、歴史博物館はレプリカを展示の中心に据えたことで、来場者の期待を裏切る形となりました。 元静岡県知事の川勝平太氏も「レプリカ展示では魅力が乏しい」と指摘し、建設前に2度も計画を「棚上げすべき」との意見書を静岡市に提出していました。

一方、歴史博物館建設地のすぐ近くでは、家康の最後の居城となった駿府城の天守台の発掘調査が進められていました。 その結果、駿府城の天守台は、江戸城天守台をしのぐ日本一の大きさを誇ることが判明しましたが、この貴重な発掘成果が博物館の展示内容にほとんど反映されることはありませんでした。 本来ならば、この発掘調査の成果を大々的に取り入れ、駿府時代の家康を深く掘り下げた展示を行うべきでしたが、実際にはこうした努力が欠けていました。

さらに、家康が外交や財政で多大な影響を及ぼした駿府城時代の展示も不十分でした。 家康がオランダやイギリスとの通商条約を結び、ヨーロッパ各国と積極的な外交を展開したことは歴史的に大きな意義がありますが、そのような重要な外交史に関する展示はほとんど見られませんでした。 実際、家康はイギリス国王ジェームズ1世に甲冑を贈るなど、ヨーロッパとの文化的交流を積極的に進めており、その甲冑は現在もロンドン塔に展示されています。 しかし、このような国際的な視点からの展示はなく、歴史博物館のコンセプトは非常に狭い範囲にとどまりました。

建設時には、当時の静岡市長である田辺信宏氏が「世界に輝く静岡」を掲げ、「歴史博物館」を5大構想の一つとして最優先課題に取り組んでいました。 しかし、田辺市長の急いだ建設スケジュールにより、施設のコンセプトや展示内容の検討が十分に行われなかったと言われています。 実際、歴史博物館の計画段階での有識者委員会では、家康の駿府城時代をコンセプトにした展示に何がふさわしいかについて、十分な議論がなされなかったとされています。

結局、目玉展示となるべき本物の文化財や貴重な発掘資料が展示されないまま、施設は「レプリカ中心」の中途半端な内容でオープンしてしまいました。 本物の国宝や重要文化財を所蔵していない歴史博物館が、魅力的な展示を行うためには、映像やインタラクティブな展示など、来場者の興味を引く工夫が求められましたが、そのような手法も取り入れられていませんでした。

さらに、元知事の川勝氏は、駿府城跡の発掘調査に注力するべきだと繰り返し訴えていました。 歴史博物館と駿府城跡を連携させ、静岡市の歴史的な魅力を全面に打ち出すことが、観光誘客の成功につながると考えられていたからです。 しかし、市の計画はこれを無視し、結果的に駿府城の歴史的価値を活かしきれない博物館を建設してしまったのです。

この失敗により、静岡市の歴史博物館は、62億円もの投資に見合わない「箱物行政」の典型として批判を受けています。 今後、博物館が再出発を図るためには、レプリカではなく、本物の文化財や貴重な史料を中心に据え、駿府城の発掘成果を反映した展示を行う必要があります。

高村の考え

歴史博物館に62億円もの投資を行ったにもかかわらず、目標来場者50万人に対して、実際は8万3千人という実に6分の1程度という惨憺たる結果に終わった背景には、いくつかの課題が浮かび上がります。
一つ目は、事業の見通しが甘すぎたことです。 大河ドラマ効果を当て込んだとしても、ドラマ人気に頼り切り、来場者の関心を長期的に維持する工夫が欠けていましたのかもしれません。

展示内容が乏しく、久能山東照宮の本物と比べて、レプリカを目玉にしてしまったことも大きな誤算だったのではないでしょうか。
本物の価値を活かしきれず、本物とレプリカの混同を招いたことは、博物館としての意義を大きく損なっています。

あと、どういった説明で議会を納得させたのかも非常に気になるところです。
50万人という大胆な入場者予測を提示しておきながら、その根拠が明確でなかったのではないかと疑わざるを得ません。
市政が多額の税金を投入したこのプロジェクトが失敗に終わった以上、議会や市民への説明責任がさらに求められるでしょう…。

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