台風10号の接近に伴い、気象庁や市町村から様々な防災気象情報や避難指示が発表されていますが、これらは5段階に分かれた「警戒レベル」として提供されており、住民が取るべき行動が具体的に示されています。
まず、覚えておくべき最も重要な点は、各警戒レベルに対応する行動を適切なタイミングで取ることです。
特に、レベル4の「避難指示」が出た際には、危険な場所にいる全ての住民が直ちに避難を完了している必要があります。
これは、「まだレベル5が残っているから大丈夫」と思って行動を遅らせることが非常に危険であるためです。
具体的には、過去に宮崎県内で発令されたレベル5の「緊急安全確保」の際、すでに土砂崩れや家屋の浸水といった被害が発生しており、その時点で避難するのは遅すぎる可能性が高かった事例があります。
いくつかの具体例を挙げると、昨年の台風6号の影響で宮崎県日之影町では大規模な土砂崩れが発生し、崩れた土砂が民家の敷地にまで押し寄せる被害が確認されています。
また、2021年7月には、えびの市でレベル5が発令され、住宅が浸水するなどの深刻な被害が発生しました。
これらの例からも明らかなように、レベル4の段階で避難を完了させることが極めて重要です。
避難の方法についても、指定の避難所に向かうだけではなく、安全が確認された親戚や知人の家、ホテルや旅館に避難する選択肢もあります。
また、特定の条件が整っている場合には、自宅で安全を確保することも可能です。
これには、自宅が洪水や土砂災害の影響を受けにくい場所にあり、十分な水や食料を備えていることが前提となります。
避難の目的は、台風接近時に少しでも安全な場所で命を守ることにあるため、状況に応じた柔軟な判断が求められます。
さらに、現在は台風による脅威に加え、地震のリスクも無視できない状況にあります。
特に、先日宮崎県で震度6弱を観測する地震が発生したことを考慮すると、台風の最中に大きな地震が発生する可能性も念頭に置いておく必要があります。
実際、1769年8月29日に発生した日向灘地震では、地震と暴風雨が重なり、複合的な災害となった記録があります。
このため、京都大学防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教は、台風が接近している状況で津波警報が発令された場合の対応についても事前に検討することが重要であると警鐘を鳴らしています。
特に、沿岸部にお住まいの方は、津波からの避難についても事前に対策を講じることをお勧めします。
総括すると、警戒レベルに対する理解を深め、適切な避難行動を事前に計画し、実行することが、あなたやご家族の命を守るために極めて重要であります。
台風や地震といった自然災害がいつ発生するか予測が難しい以上、早めの準備と慎重な判断が求められます。
警戒レベルごとの行動指針
警戒レベル | 情報の種類 | 取るべき行動 |
---|---|---|
レベル1 | 早期注意情報 | 災害への心構えをする。 |
レベル2 | 大雨・洪水・暴風警報 | 避難行動を確認し、準備を整える。 |
レベル3 | 高齢者等避難 | 避難に時間のかかる人は避難を開始する。 |
レベル4 | 避難指示 | 危険な場所にいる全員が避難を完了する。 |
レベル5 | 緊急安全確保 | 既に災害が発生しているため、命を守る最善の行動を取る。 |