令和3年2月定例会 個人質問 [GIGAスクール構想について]

令和3年(2021年)2月定例会 個人質問

以下、議会で質問した内容と、答弁いただいた内容を記しております。

GIGAスクール構想について

GIGAスクール構想により、児童、生徒に一人1台の端末の導入がなされ、その端末から学校や教育委員会にヘルプサインを送信できるツール、「マモレポ」の運用が始まるとありましたので、まずはその「マモレポ」について確認いたします。
LINEやほかのSNSとの違いはなんでしょうか?
また、こどもSOSカードとの違いについてもお聞かせ願います。

ご答弁(教育監)
LINEや他のSNSとの違いは、スマートフォンなどSNSを利用するための自身の端末を持っていない児童、生徒も相談ができるという点や、一般に供用されているアプリを介さず、閉じられた環境で運用する点でございます。
また、相談に対してシステム上のやり取りを行うだけでなく、見守りや児童、生徒へのアプローチなど、状況に応じて直接対応することも想定しているため、いじめの早期発見、早期対応、解決につながるものと考えております。
さらに、小学校低学年の児童にも配慮して、簡易な操作で発信できるよう工夫をしております。
次に、こどもSOSカードとの違いは、児童、生徒がいじめなどで困っていることを送る宛先が、市長ではなく、学校や教育委員会である点や、システム上、学習用端末の使用時であれば、いつでもヘルプサインが出せるという点でございます。

こどもSOSカードと似たような性質を持つ「マモレポ」の運用に、SOSカードの課題や問題点をどのようにつなげていくべきかをお示し願います。

ご答弁(教育監)
まず、本来、いじめをはじめ、児童、生徒の困り事を受け止めるのは、普段から児童、生徒と接し、寄り添っている学校が担うべきであるとの考えから、マモレポの相談先を学校や教育委員会としております。
こどもSOSカードについては、運用面の課題として、1学期に1回の配付であり、継続的に相談できる機会が確保されていない点、また、特に小学校低学年の児童などは、保管が難しいといった点があったと認識しております。
マモレポについては、児童、生徒の状況に応じたタイミングで、日常的に相談ができること、また、学習用端末として利用しているため、統一的なルールに基づき保管することから、こうした課題を解消できるものと考えております。

こどもSOSカードは学期ごとに1枚の配付のみでおかわりはなし、サインを送っても個別にアンサーがあるわけでもありません。子供に真剣に寄り添う姿勢が見えず、迷走をしていたように感じます。
マモレポに関しては、子供の悩みにしっかりと寄り添えるものになるようにお願いいたします。

学校現場で生起したいじめに対してSOSを出しても、先生より黙殺され、次に、現場ではない市長に訴える事業が始まり、そして今度は、対応の主体が教育委員会へと渡ります。
マモレポ導入で、市長部局としては今後、学校現場の生徒、児童のいじめや悩みに携わらないと理解してよろしいでしょうか。

ご答弁(市民部長)
こどもSOSカードにつきましては、配付を終了いたしますが、今後はマモレポの運用状況について、教育委員会と定期的に情報共有を行うこととしております。
また、今後とも、人権擁護委員によるいじめ防止のための人権教室や、自分自身や相手を大切にすることを伝える取組としての、小学生向けのDV予防啓発プログラムなど、子供の人権を守る様々な取組を積極的に進めてまいります。

情報共有していただくこと、そして、何かあったときにはお互いが協力して取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。

マモレポかその他のツールでもいいのですが、児童、生徒だけではなく、教職員間のハラスメントにも使用できるようにしてはいかがでしょうか。
神戸市の事例もあり、またコロナ禍で学級運営も学校運営も困難さを増しています。
職員の方のケアにもつながると思いますが、御所見をお聞かせ願います。

ご答弁(教育監)
マモレポについては、児童、生徒の困り事を学校や教育委員会に相談できるようにすることで、いじめの早期発見や早期対応につなげることが目的であるため、教職員を対象とした使用は想定しておりません。
教職員間のハラスメント対応については、パワー・ハラスメントの防止及び対応に関する指針に基づき、学校内や教育委員会事務局に相談窓口を開設し、問題解決を図っております。

教育の質の向上には、教職員のメンタルの向上も必要だと思います。
大人だから大丈夫と、ほったらかしにならないように、よりケアできる仕組みを御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。

次に、一人1台貸出しの端末についてお伺いいたします。

GIGAスクール構想によって配付されました端末は、1度買うとその端末を一生使い続けられるという類いのものではありません。
また、次の更新時には、国からの補助金が出る保証はありません。
一般的にパソコンの寿命は5年程度、5年後にすぐ故障ではなく、徐々に衰えるかと思います。
また、今年度は4万5,000円の端末等が存在しましたが、数年後に同じ価格で購入できる端末があるとも限りません。
「Bring Your Own Device」も視野に入れた検討も必要になるでしょう。
しかし、その場合は保護者に納得して御負担いただけるくらいの成果を示していく必要があります。

以下、まとめてお答え願います。

今回配付されました端末の買換え、更新時期の予算取りなどの課題について。
登下校、移動教室のときに落とす事故など、小学校の低学年では紛失や故障にもなることも多くあると想定できますが、端末の保険や予備の用意について。
バッテリーなどの消耗品の対策について。
年度ごとに児童、生徒数は異なります。足りなくなったときの対応について、同じものが手に入るのか。

端末の用意に穴ができると、学びの保障どころか、学びの障害にもなりかねません。
教育委員会としてどのような対策、準備をされておりますでしょうか、お答え願います。

ご答弁(教育監)
マモレポについては、児童、生徒の困り事を学校や教育委員会に相談できるようにすることで、いじめの早期発見や早期対応につなげることが目的であるため、教職員を対象とした使用は想定しておりません。
教職員間のハラスメント対応については、パワー・ハラスメントの防止及び対応に関する指針に基づき、学校内や教育委員会事務局に相談窓口を開設し、問題解決を図っております。

次に、デジタルシティズンシップについてお伺いいたします。

ICTを正しく適切に利活用できる力を身につけるためにも、学年に合わせたデジタルシティズンシップ教育をきちんと行う必要があると考えます。
賛否はありますが、端末の持ち帰りについて、学習外の利用も可能にしてもいいと私は考えます。
もちろん、やってはいけないことの教育はきちんと行う必要があり、だからこそ配付された端末でのICT利用と、プライベートでのICT利用に乖離が起こらないようにし、行動の善悪を自分で判断できる力を養う教育が必要と考えますが、御所見をお聞かせ願います。

ご答弁(教育監)
デジタルシチズンシップ教育は、子供たちがICTを積極的に活用する中で、デジタル社会が公共の場であることを認識し、適切で責任のある行動を取るために立ち止まって考えることができる力を育む教育であり、本市においても積極的に推進してまいります。

教員が一方的にルールを決めるのではなくて、倫理やモラルを子供たちと一緒に、なぜそういったルールが必要なのかというのを考えられるようにしたらいいと思いますので、重要な課題であるからこそ、柔軟な考えを持って、時間をかけて取り組んでいただきたいと思います。

次に、プログラミング教育についてお伺いいたします。

同学年でも、得意な子と苦手な子でスキルの差がかなり生じます。
プログラミング授業が始まってすぐということもあり、今は教える側も手探りの部分があるかと思いますが、今後の授業については、スキルでクラスを分けるといった取組も必要になってくると考えますが、教育長の御所見をお聞かせ願います。

ご答弁(教育監)
本市の小・中学校では、現在、児童、生徒の発達段階や個々の習熟の状況を考慮しながら、学習指導要領にのっとり、実施しております。

ご答弁(教育長)
プログラミング教育はSociety5.0と言われる現代社会において、論理的思考力を身につけるための学習活動の一つであると認識をしています。
今後も個別の習熟度に応じ、より深い学びになるよう、教科横断的な視点でさらに研究を進めてまいりたいと考えております。

以下、提案について、まとめて御答弁願います。

授業参観、野外授業、運動会、卒業式などのイベントなどで、保護者限定で閲覧できるように配信する取組。
体を動かすことの楽しさを教えるべき体育の授業で、専門分野の先生にフォームを細かくチェックしてもらうなどし、運動能力を引き出す。
一例として、LINEのCLOVAをIFTTTに対応させて、学校を出たら自動的に通知するといった取組。

GIGAスクール構想で、校内ネットワークの構築が進み、端末が配付され、これまでできなかったことが可能となります。
潜在的には需要があった部分にまで踏み込めるようになってきました。
こういったところへもチャレンジしていただきたく思いますが、御所見をお聞かせ願います。

ご答弁(教育監)
初めに、GIGAスクールネットワークのシステム上、学校行事等の様子を配信する取組につきましては、学習用端末でのみ受信可能であり、保護者所有の端末で受信することはできませんが、保護者を対象としてパスワードを設定し、学校ホームページ上で画像等を配信することは、既存のシステムで可能となっております。
次に、体育の授業などでフォームをチェックするために端末を活用することは、既に実施しており、今後は児童、生徒が自ら学習用端末を活用し、学びが深まることを期待しております。
最後に、学習用端末を利用した、登下校の見守りシステムの構築については、自宅への持ち帰りが常態化すること、システム本体が安定的に稼働することなどのほか、種々の課題について研究する必要があると認識しております。

体育での取組はされているようですけれども、専門家の指導というところまで取組を進めていただきたく思います。

こういった新しい試みについては、他の自治体での成功事例など、すぐに踏襲できるものではないでしょうけれど、考え方等取り組み方については、積極的に参考にしていただければなと思います。

最後に、本市は大阪府内で学力は高いほうとされておりますが、市内の学校間での学力差はあります。ある意味学力の高い学校に引っ張られて、平均が高くなっているとも考えられます。
このGIGAスクール構想で、吹田市全体の学力向上、そして底上げに吹田市はどのように取り組んでいくのか、チャレンジしていくべきなのか、教育長の御所見をお聞かせ願います。

ご答弁(教育監)
GIGAスクール構想による児童、生徒一人1台の学習用端末の配備は、令和の日本型学校教育が目指す、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させた、主体的、対話的で深い学びによって実現するものであり、本市が目指す総合的人間力の形成が、さらに充実したものになると考えております。

ご答弁(教育長)
GIGAスクール構想の実現に伴い、改めて学校教育の質を上げ、子供の可能性を最大限に引き出すことが大切であると考えています。
そのために、全小・中学校において新学習指導要領を確実に実施し、令和の日本型教育の構築を目指す必要があります。ICTを活用し、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に実現すること、充実することで、主体的、対話的、深い学びを実現しようとするものです。そのため、必要不可欠なことは、授業そのものが変わっていくということであります。
教育委員会としましては、ICT環境をはじめ、教育環境の整備及び教職員研修の充実に努め、時代の変化を前向きに受け止め、学び続ける教職員の育成に努めたいと考えております。

非常に前向きな答弁でしたので、おっしゃられたとおり進めていただけきますようお願いいたします。

EdTech(エドテック)によって、様々な教育格差の解消につながるのではないかと期待されていたものの、なかなか進まなかったところに、コロナの影響で学校教育というものが大きく転換しました。
GIGAスクール構想の一人1台端末によって、アダプティブラーニングも可能になり、学習に場所を選ばなくなることで、新しい学びを実現することが可能となりました。
しかし、環境が整備されたからといって、新しい学びが自動的に始まっていくわけではありません。
本市の子供たちの資質、能力の育成、学力向上に向け、学校現場がICTの一層の活用を進めていけるように、教育委員会にもしっかりと取り組んでいただきますよう要望しておきます。

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