AIによる攻撃の自動化は、想像以上のスピードで進んでいます。
記事の説明
米IT大手のGoogleは、AIを悪用したサイバー攻撃が本格化している実態について警鐘を鳴らしました。調査では、生成AIや自律型AIが、従来よりも高度かつ大規模なサイバー攻撃に利用されている現状が明らかになっています。
これまでのサイバー攻撃は、人間がプログラムを書き、個別に攻撃対象を探しながら進めるケースが一般的でした。しかし現在は、AIが自律的に脆弱性を探索し、マルウェアを操作しながら24時間体制で攻撃を継続する段階に入りつつあると分析されています。
特に問題視されているのが、複数のAIやマルウェアが連携しながら役割分担を行う「自動化された攻撃」です。例えば、生体認証データを盗み出すもの、暗証番号の解析を行うもの、システム内部へ侵入するものなどが連動し、短時間で被害を拡大させるケースが確認されています。
さらに、生成AIそのものが攻撃ツールとして悪用されている点も大きな特徴です。2025年には、スロバキアのセキュリティ企業ESETが、Googleの生成AI「Gemini」を悪用して、Android端末を操作するマルウェアを特定しました。中国語圏環境で開発された可能性があるとされ、Google側も対策を強化しています。
また、AIによる脅威は単なる情報漏えいや金銭被害だけに留まりません。ロシア、中国、イラン、北朝鮮などの組織が、偽動画や偽音声を生成するAIを活用し、情報操作や世論誘導を進めていることも指摘されています。加えて、中国系組織による日本企業への脆弱性調査や、北朝鮮系グループによるAIを活用した攻撃規模の拡大も確認されています。
専門家は、AI時代のサイバー攻撃によって「平時と戦時の境界」が曖昧になりつつあると警告しています。実際、ロシアによるウクライナ侵攻の裏側では、中国や北朝鮮が欧州企業に対してAI関連技術を狙ったサイバー攻撃を行っていたとされ、国家安全保障の領域にまで影響が及んでいます。
高村の考え
AIを使ったサイバー攻撃の深刻さは、単純に「攻撃の精度が上がる」という話ではなく、速度と規模が加速度的に拡大しているところにあると思います。
従来のサイバー攻撃は、ある程度「人手」が必要でした。しかしAIが入ることで、脆弱性探索、標的選定、攻撃実行、情報収集まで自動化される。しかも24時間止まらない。これは防御側からすると非常に厳しい状況です。
特に厄介なのは、攻撃側が“試行錯誤”をAIに任せられることです。
何万パターンもの侵入方法を高速で検証し、成功率の高い方法を学習し続ける。つまり攻撃が「進化」していくわけです。
一方、防御側はどうかというと、基本的には被害が起きてから対策を講じるケースが多い。AIを活用して防御を強化しても、どうしても後追いになりやすい構造があります。ここが非常に難しいところですね。
さらに、生成AIは民主化された技術です。以前なら高度な知識を持つ一部の専門家しかできなかったことが、今では一般レベルでも実行可能になりつつあります。
これは便利さの裏返しでもあります。
ただ、だからといって過度な規制が正解かというと、それも簡単ではありません。
AIは行政、教育、医療、防災、産業など、社会全体の生産性を大きく押し上げる可能性があります。
日本はむしろAI活用で遅れている側面もあるので、規制一辺倒になれば、今度は国際競争力を失うリスクが出てきます。
私は、重要なのは「禁止」よりも、
- セキュリティ教育
- AIを活用した防御技術への投資
- 官民連携による脅威情報共有
- 自治体や中小企業への支援
- ゼロトラスト型の考え方の普及
こうした現実的な防御力の底上げだと思います。
特に自治体は狙われやすい。
個人情報、インフラ、住民サービスなど、攻撃価値の高いデータを大量に持っています。
しかし、民間大企業ほどのセキュリティ投資が難しいケースも多い。
だからこそ、AI時代のサイバーセキュリティは「IT部門だけの問題」ではなく、行政運営そのものの重要課題として考えなければいけない時代に入ったと感じます。
