ガバメントクラウドで経費1.6倍 – 東京都が国に根拠の提示を要請

目的と手段がずれると、政策の本質が霞んでしまいます。
また、「標準化」が全てを解決するとは限らないということを教えてくれている気がします。

記事の説明

2025年度末までに全国の地方公共団体が「国が定める標準的な仕様」に基づき、基幹業務システムの標準化と「ガバメントクラウド」への移行を進めるよう求められています。ガバメントクラウドとは、日本政府が推進する共通クラウド基盤で、運用効率の向上とコスト削減を目的としています。国は、移行により「2018年度比で少なくとも3割の経費削減」を目指すとしています。

しかし東京都は2024年5月28日、これに対して明確な異議を唱える声明を発表しました。都の試算によると、むしろ移行後は現在の約1.6倍にまで経費が膨れ上がる見込みであると指摘しています。さらに、国が提示する「中長期的にはコスト削減が可能」とする説明についても、その根拠や前提条件、実現までのスケジュールが不透明だと批判しました。

この声明は、東京都の小池知事をはじめ、特別区長会、市長会、町村会の代表が連名で発表したもので、地方行政が抱える現実的な課題を踏まえた強い要請となっています。これに加えて、中核市市長会や指定都市市長会も同様の立場を示しており、ガバメントクラウドの導入による財政的負担の増加に対する懸念が広がっている状況です。

高村の考え

今回の東京都による声明は、まさに「ガバメントクラウド」の導入が本来の目的から逸脱しつつある現実を浮き彫りにしています。
本来、クラウドの導入というのは運用の効率化とコスト削減が主眼のはずです。
しかし蓋を開けてみれば、移行によってむしろ経費が1.6倍に増える見込みというのは、制度設計自体に根本的な欠陥があるのではないかと疑問を抱かざるを得ません。

特に注視すべきは、国の「3割削減」という目標が具体的な試算根拠やシナリオに裏打ちされていないことです。
数字だけが一人歩きし、現場の負担が加速度的に増えていくという構図は、まさに行政改革が陥りがちな“本末転倒”の典型では無いかと思います。
デジタル庁や総務省には、きちんとファクトベースでの説明責任を果たしていただきたいと思います。

また、地方自治体にはそれぞれの行政規模や事情があり、標準化が必ずしも万能とは限りません。
吹田市のような中核都市においても、移行コストとその効果のバランスは慎重に検証する必要があります。
民間企業のクラウド移行においても、初期費用が大幅にかさむケースがあることはよく知られており、それを見越した中長期のリターン設計が不可欠です。

自治体の基幹業務というのは、市民生活の根幹に関わるものです。
その運用が非効率になり、経費が増大するようでは、市民サービスにしわ寄せが来かねません。
よって、国はこの機に乗じて「標準化ありき」の方針を改め、地方の実情に即した柔軟な制度設計となるような見直しも検討されるべきかと思います。

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