身近な食材だからこそ、今こそ真剣に考えたい問題です。

記事の説明
インドネシアにおいて、中国から輸入されたとされるコメにポリ塩化ビニール(PVC)で作られたプラスチック米が混入していたことが判明し、国内外で波紋を呼んでいます。
この問題の発端は、西ジャワ州ブカシでお粥を食べた消費者が異常を訴えたことでした。政府は食品テロの可能性も含めて調査を開始し、中国にも協力を依頼しています。
年間1人当たり約150kgものコメを消費するインドネシアでは、今回の事件が食の安全と国家の食料政策に直結する問題として注目されています。
これまでコメの輸入に依存していたインドネシアですが、中国やインドといった大国の需要拡大、さらにエルニーニョ現象による気候変動の影響も相まって、将来的なコメ不足が懸念されています。
統計によると、2014〜2015年の世界のコメ消費量では中国が最も多く、次いでインド、そしてインドネシアが続きます。一方で輸出量に目を向けると、世界で生産されるコメの約10分の1しか輸出されておらず、価格変動の激しさが問題となっています。
インドの輸出規制をきっかけに、過去には世界的な価格高騰を招いた例もあります。
このような背景の中で、インドネシアでは政府が輸入米の見直しを進め、国内の生産拡大と完全自給への転換を加速させています。
特にジョコ・ウィドド大統領は、就任時からコメの自給を公約に掲げており、国民の間でも国産米への期待が高まっています。
高村の考え
今回のインドネシアでのプラスチック米混入事件は、決して他人事ではないと感じています。
実際、現在の日本においてもコメ価格が高騰しており、私たちの食卓に大きな影響を与えています。
特に地方自治体の立場から見ると、食料自給体制の見直しは喫緊の課題であり、輸入に頼るリスクを改めて突きつけられた形です。
日本のコメ価格高騰は、円安、燃料費の上昇、そして天候不順など複数の要因が重なっていることが背景にあります。実際に農家の高齢化や後継者不足など、構造的な問題も根深く、ただ価格の問題だけにとどまらない「農の存続危機」が忍び寄っていると言えるでしょう。
インドネシアの事例が私たちに示唆するのは、食料安全保障の再構築と、その中での地域農業の再評価です。
特に、吹田市のような都市部でも地産地消の推進や都市農業の振興といった視点を取り入れた政策が求められます。
行政としては、単なる支援金の拠出ではなく、デジタル技術を駆使した農業支援、マーケットの再編、流通の効率化など、総合的なアプローチが不可欠です。
また、今回の事件に潜む「食品テロ」というキーワードも見逃せません。
サプライチェーンの透明性確保、輸入品の検査体制の強化、リスク管理体制の構築も急がなければなりません。
いずれにせよ、日本も他国の問題を“対岸の火事”として見過ごすのではなく、自国の課題と重ね合わせて真剣に対策を講じていく必要があります。
農業を守ることは、私たちの暮らしと命を守ることそのものなのです。