子どもたちの学びのパートナーであるGIGA端末、その“最後”が問われています。

記事の説明
GIGAスクール構想に基づき全国の小中学校で導入されたタブレット端末は、2025年から2026年にかけて更新時期のピークを迎えるとされています。
このタイミングで問題となっているのが、端末の「処分」に関する認識の低さです。一般社団法人 児童生徒のデータプライバシー協会が実施した意識調査によると、GIGAスクール端末を使用する子どもを持つ保護者の約3人に2人が、処分方法を「知らない」と回答。
また、端末に保存されている学習データや個人情報の扱いについても、75%以上が学校の管理状況を把握していないという深刻な実態が明らかになりました。
さらに、データ漏えい時のリスクが高いとされる「いじめに関する記録」などのセンシティブな情報が含まれている事実を知っている保護者は、全体の30%未満にとどまっています。
これにより、学校現場と保護者の間でデータに対する認識の大きなギャップが浮き彫りになった格好です。
また、約70%近くの保護者は「万一のデータ漏えい時にどう対応されるか」についての情報提供を学校から受けたいと望んでいる一方で、教育関係者の47%が処分方法を把握していないという調査結果もあります。
これは、教育現場におけるデータガバナンスの体制が未成熟であることを示唆しており、今後は学校・教育委員会・自治体・保護者が一体となり、端末の適正な処分・データ消去を進める必要があります。
高村の考え
GIGA端末の更新時期が目前に迫るなかで、保護者の多くがその「処分方法」や「データの行方」について理解していないという現状は、正直なところ想定の範囲内じゃないでしょうか。
というのも、これまでの行政の情報発信は、どうしても“制度の整備”に重点が置かれ、保護者や市民が具体的に「どう動けばよいのか」という点への説明が圧倒的に不足しているからです。
タブレット端末の寿命が約5年という事実は周知されていても、それが「どうやって廃棄されるか」「中身のデータはどうなるか」までイメージできている人はごくわずかでしょう。
この問題の本質は、“認識のズレ”だけではありません。
それを生み出しているのは、教育現場と行政、そして保護者のあいだにある情報の非対称性です。
デジタル時代において、データは個人の人格の一部とも言える重要な資産です。
GIGA端末に含まれるデータの中には、学習履歴、行動履歴、場合によってはいじめなどセンシティブな情報まで含まれる可能性があるわけであります。
もしそれが適切に削除されずに廃棄されたとすれば、子どもたちの未来を脅かす深刻なリスクにつながりかねません。
また、教育関係者の約半数が処分方法を理解していないという事実は、危機感を覚えざるを得ません。
これは、制度的なガイドラインが曖昧であることの裏返しでもあります。
私は議会においてもこの件で触れたことがありましたが、吹田市でも、こうした課題に対して自治体としてどのような処分計画を立てているのか、保護者や地域住民にしっかりと情報を届けることが求められます。

私たちが目指すべきは、端末の物理的な廃棄だけでなく、「データの命をどう閉じるか」というデジタルエンディングの設計です。
そのためには、自治体としても認定事業者の活用や第三者チェックの体制を整える必要があるでしょうし、PTAや地域コミュニティも巻き込んだ情報共有の場を定期的に設けていくことが重要です。
地に足のついた施策、透明性のある情報開示、そして行政・学校・保護者が三位一体となって取り組む姿勢が、子どもたちのデータと未来を守る鍵となります。