労働時間の考え方が変わる中、始業前の「たった5分」が大きな意味を持つようになりました。

記事の説明
始業前の5分間出勤が時間外勤務にあたると認定され、岐阜県岐南町の職員らに3年間分の手当約1,092万円が支給されることになった。
この措置は、2021年に当時の町長が朝礼のために職員に8時25分の出勤を命じたことに端を発する。
通常の勤務時間は8時30分からであるため、勤務開始前の5分間が「時間外労働」として認められた形だ。2023年12月に職員からの措置要求を受け、公平委員会が2024年11月に手当の支払いを勧告。
その結果、対象となる146人(退職者含む)に支給が決定された。
高村の考え
一昔前まで、始業時間前に出勤し、準備を整えておくのは「当たり前」の文化でした。
しかし、労働環境の改善や働き方改革が進む中で、このような慣習が見直されるのは時代の流れですかね。
特に公務員は、労働基準法の適用範囲が異なるとはいえ、適正な勤務管理が求められるため、今回の判断は象徴的なものといえるでしょう。
今回の件については、時代に合った判断と考えるべきでしょう。
確かに「5分くらい…」という感覚は根強いんでだと思うのですが、その「5分」が積み重なれば、年間で20時間以上の未払い労働が発生することになります。
特に公務員は、企業とは異なり利益を生む仕事ではないため、こうした時間外労働に対する報酬の不払いが起こりやすい構造があります。
民間では「早めに来て仕事の準備をするのが常識」という文化が残る職場も多いけど、これは本来、労働者の善意や暗黙の了解に依存しているに過ぎず、法律的に見ると問題があると思います。
とはいえ、すべてを杓子定規に「時間外労働」として認定すれば、業務の円滑な進行に支障をきたす可能性もあるわけで、例えば、5分前に席について、PCを立ち上げ、メールを確認する程度の行動もすべて時間外とすべきなのか。
それとも、自発的な準備行為とみなすべきなのか。
公務員のみならず、民間企業にとっても今後の労務管理のあり方を考える上で重要な課題となるでしょう。