生成AIが変える教育と働き方、新しい視点で考えるべき時代が来てますね。
ただ使うだけじゃない、生成AIの可能性と課題が見える取り組みです。
記事の説明
お茶の水女子大学の伊藤貴之教授が、生成AIのリテラシーを向上させるユニークな課題を学生たちに課しています。
その内容は、「生成AIが作成した不完全な回答を修正し、適切な内容にする」というものです。
この取り組みの目的は、生成AIの出力結果に疑問を持ち、適切に修正する能力を養うことにあります。
伊藤教授は、この課題を始めた経緯について、生成AIが急速に普及した背景を挙げています。
2023年初頭、OpenAIのGPT-3.5がリリースされ、学生たちの間でも生成AIの使用が増え始めました。
その時点で教授は、大学として生成AIを適切に利用するためのサポート体制を整える必要性を感じたといいます。
2023年には、「生成AI利用ワーキンググループ」を立ち上げ、学生にツールの使用注意点を周知しました。
また、2024年2月には学内で生成AI活用事例に関する講演会を開催。
この活動の一環として、学生に生成AIを授業の課題で利用させ、実際の使い方や効果を観察することを決めました。
課題は「マルチメディア」という必修科目で実施され、設問は4つに分かれています。
生成AIが出力した不完全な回答を修正するプロセスを通じて、学生たちは自ら情報を見極める力を学びました。
具体的には、生成AIの回答をそのまま補正するタイプと、一度内容を崩して自分の言葉で書き直すタイプの2つのアプローチが見られたといいます。
このプロセスを通じて、学生は「疑問を持つ力」や「判断力」といった情報収集の基礎能力を身につけました。
さらに、課題の結果として、生成AIを使うことが「情報の妥当性に対する関心を高める効果がある」ことも明らかになったそうです。
伊藤教授は、この取り組みを企業の社員教育にも応用できると考えています。
特に、定型的な作業が多い業務では、生成AIが効果を発揮する場面が多くあります。
社員が生成AIを活用する際の教育として、今回のような課題を設定することは効果的だと述べています。
ただし、課題の評価基準やチェック体制については、大学とは異なる企業ならではの配慮が必要であることも指摘しています。
また、この取り組みの応用として、今後は長文作成や複数人での共同作業を含む課題設定も視野に入れているとのことです。
特に人文系の分野では、正解が決まっていない課題が多いため、評価基準を工夫する必要があると述べています。
生成AIを活用する教育が進むことで、学生だけでなく社会人にとっても、AIリテラシーが今後のスキルの重要な基盤となるでしょう。
この取り組みは、生成AIを正しく活用する力を育むだけでなく、AI時代における新しい学び方や働き方の可能性を示しています。
高村の考え
この取り組みは非常に興味深いですね。生成AIが社会に急速に普及する中で、ただ便利なツールとして利用するだけでなく、そのリスクを知り、適切な使い方を学ぶ機会を設けるという姿勢に感心しました。特に、AIの出力を検証し、自分の言葉で修正するというプロセスは、単なる情報収集を超えた「批判的思考力」の育成に寄与すると感じます。
教育の現場だけでなく、企業における応用の可能性にも注目すべきでしょう。生成AIを活用した資料作成は、特にスピードが求められる業務で重宝される一方で、その品質管理が重要です。社員がAIの出力を検証し、現場で実際に活用できる形に仕上げる能力を持てば、業務効率と品質の向上に大きく貢献するでしょう。
また、記事内で述べられていた「複数人での共同作業」や「独自の視点を生かす課題設計」は、教育・企業の両分野で課題設計の柔軟性を示しています。これからの時代、生成AIをただのツールとして扱うのではなく、それを基にした「新しい学び方」や「働き方」をどう設計するかが、競争力の鍵になると考えます。
AIが人間の思考を補完するパートナーとして機能する時代において、こうした教育が次世代の「デジタルリテラシー」の基礎となることを期待しています。
