SNSは便利さと危険性が表裏一体ですが、オーストラリアの決断は未来のための一歩となるのか…。
この是非については非常に難しいですね。
記事の説明
オーストラリア議会は、16歳未満の子どもがSNSを利用することを禁止する法案を可決しました。
この法律は、SNSを提供する運営会社に対し、16歳未満の利用者がアクセスできないようにする措置を義務づけるものです。法律に違反した場合、最大で4950万オーストラリアドル(約49億円)の罰金が科される可能性があります。
一方で、子どもやその保護者に対する罰則は設けられていません。
今後、連邦総督の署名などを経て正式に成立し、1年後を目途に施行される予定です。
アルバニージー首相は、この法律について「親と子どもたちがSNSについて建設的な対話を行うきっかけをつくり、子どもの健全な成長に資するものである」と述べました。
また、SNSの運営会社が社会的な責任を果たす仕組みとして、世界的にも先進的な取り組みであることを強調しました。
この背景には、SNS利用に伴う子どもたちの健康や安全への懸念があります。
オーストラリアでは近年、子どもたちがSNSに夢中になることで日常生活や精神的健康に悪影響を及ぼしたり、悪質ないじめや性犯罪の被害にあったりするケースが増加しています。
このような事態を受け、多くの保護者が規制を求める声を上げ、署名活動には12万人以上が賛同しました。
国民の77%がこの法案を支持しており、SNSの運営会社が適切に対応するよう罰則を含めた強制力を求める声が高まっています。
SNSの規制に関しては、オーストラリアだけでなく、フランスやアメリカの一部州など、他の国々でも子どもの利用を制限する法的措置が導入されています。
例えば、フランスでは15歳未満の子どもが保護者の同意なしにSNSを利用することを禁止しており、アメリカのユタ州でも保護者の同意が必要です。
一方で、国連や専門家は、SNSを完全に禁止することが子どもの権利を侵害する可能性を指摘しています。
子どもの表現の自由や情報を得る権利を損なわない形での規制が求められています。
オーストラリア政府は今後、SNS利用時の年齢確認をどう行うかが課題となります。
現在検討されている案には、顔認証や身分証明書の提出を求める仕組みがありますが、これらの方法にはプライバシー保護の観点から懸念も示されています。
また、SNS運営会社は規制の実効性や過剰な個人情報収集について批判しており、反発も予想されます。
専門家の中には、子どもたちが規制をすり抜け、より危険な非公式プラットフォームを利用する可能性を懸念する声もあります。
しかし、規制を通じてSNSのリスクについて啓発する効果が期待されており、SNS運営会社の行動を促す「交渉の材料」としても注目されています。
高村の考え
今回のオーストラリアの法案は、子どもをSNSのリスクから守るための先進的な試みとして注目されます。
しかし、SNSすべての利用を禁止するという形では、子どものリテラシーの発達にや、表現の自由が損なわれる懸念があります。
私としては、「安全な情報にはアクセスできる仕組み」が実現すれば理想的だと感じます。
例えば、特定の教育的なSNSや、子どもが安心して使えるプラットフォームの開発が進めば、子どもたちの学びや社会性を育む場を確保しながら、危険を避けることが可能になるでしょう。
ただし、それを実現するためには、技術的にも運用面でも多くの課題がありますけどね。
年齢確認の仕組みも鍵を握ります。
SNS運営会社が協力し、顔認証や身分証明書の活用など、プライバシーを保護しつつ信頼できる方法を開発する必要があります。
一方で、このような規制が過剰になると、子どもたちが規制の目をかいくぐり、より危険な非公式プラットフォームに流れる可能性もあり、その点も懸念材料です。
総じて、全面禁止という「極端な対策」に頼らず、有害な情報だけをブロックする「精緻な規制」の実現を目指すことが最適解ではないでしょうか。
これは技術的な挑戦を伴うんだろうと思いますが、子どもたちの未来を守るためには、必ず取り組むべき課題だと思います。