制度としては画期的なのかもしれませんが、氏名公表の運用には慎重な判断が必要ですね。
記事の説明
三重県桑名市が発表した「カスタマーハラスメント(カスハラ)」防止条例案は、客による過度な要求や迷惑行為が従業員の労働環境を損なうことを防ぐ目的で、全国初となる氏名公表の制裁措置を含んでいます。
この条例案では、カスハラを「要求内容が妥当でない上に、就業者の労働環境に害を及ぼす行為」と定義。市が設ける相談窓口を通じて問題を認定し、専門家による対策委員会が審議を進めます。
最終的に警告に従わない場合には、行為者の氏名を公表することを視野に入れています。
伊藤徳宇市長は、この条例を通じて「働きやすい安全な環境を整えること」を目指すとしています。
この条例案は12月議会での審議を経て、来年4月の施行を目指しているとのことです。
高村の考え
桑名市の「カスハラ」防止条例案は、その独自性が際立つ画期的な取り組みだと思います。
ただし、氏名公表という制裁措置は、確かに注目を集める一方で、その運用には慎重を要するでしょう。
労働者保護の観点からは歓迎すべき進展かもしれませんが、公表による名誉毀損や冤罪のリスクをどう管理するのかが課題になるのではないでしょうか。
例えば、対策委員会での認定プロセスがどれほど透明性を保てるか、第三者の目線がどの程度入るかが鍵になります。
また、行為者が逆に行政を訴えるケースが発生しないとも限りません。
このような措置は、市としての意思を明確に示す効果がある一方で、制度の正当性を疑問視されることも考えられます。
桑名市の試みが成功すれば、全国の自治体にも波及する可能性がありますが、そのためには、制度設計の堅牢さと運用の公平性が不可欠です。
議論を通じて、具体的な事例に即した運用基準が練られることを期待したいですね。