吹田市「中学校の全員給食に向けた基本計画 ~ みんなが笑顔で食べる給食の実現を目指して ~」

吹田市における「中学校の全員給食に向けた基本計画案」に対する、提出された意見と吹田市の考え方について、市の公式サイトで公表されております。

提出された意見は129通で、意見の数は238件でした。

令和6年(2024 年)8月に吹田市教育委員会が示した、「中学校の全員給食に向けた基本計画 ~ みんなが笑顔で食べる給食の実現を目指して ~」は、以下の通りです。

目次

1 背 景

成長期にある中学生の心身の健全な発達には、個々のおかれた環境に かかわらず、栄養バランスのとれた食事をとることが必要です。
本市の中学校給食は、平成21年(2009年)1月から、ランチボックスによる選択制デリバリー方式のモデル実施を行い、平成24年(2012年)2月からは、全18校で実施していますが、大阪府内では既に34団体が中学校の全員給食を実施しており、全国的にも全員給食化が進められている状況です。
本市では、令和2年(2020年)10月に学識経験者や校長、PTA協議会などの学校教育関係者等で構成する「吹田市中学校給食在り方検討会議」を設置し、現状の選択制給食の検証や中学生にとって望ましい中学校給食の在り方について議論を行いました。
検討会議では、現状の給食についての課題、生徒の昼食の状況、保護者のニーズ、食育の在り方、食物アレルギーの対応、教職員の負担、給食の実施方式などについて様々な議論を重ね、次のとおり「基本的な考え方」が取りまとめられ、これらの「基本的な考え方を実現していくため、全員喫食を実施する」必要があるとの提言が出されました。
本市では、この提言を受け、中学校での全員給食の実施に向けた検討を進めてきました。

【基本的な考え方】
・おいしく楽しく食べられる食育の推進ができるシステムの確立
・生徒全員が同じメニューを食べる機会の提供
・教職員の負担を考えた上で、給食指導を十分に行える体制の整備
・命・健康を守ることを基本方針に、食物アレルギー対応への仕組みの構築

2 今後の中学校給食の在り方

学校給食法において、学校給食は「児童及び生徒の心身の健全な発達に資するものであり、かつ、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものである」とされており、中学校における給食は、成長期の生徒に栄養豊富な食事を提供するとともに、健全な食生活を身につけ、自らの健康管理ができるようにする上で重要な役割を果たすものです。
また、健康すいた 21において市民の「健康寿命の延伸」と「生活の質(QOL)の向上」に向けて様々な施策に取り組んでおり、その中で「健全な食生活を実践していくことができるよう、食育の様々な取組を通じて食への関心や理解を深め、家庭・学校・地域等が連携して食育の推進を図ることが必要」とされており、学校給食は食育の絶好の機会となります。
さらに、近年の共働き世帯の増加や、大阪府内の自治体を含め全国的に中学校の全員給食が進められているといった社会状況の変化からも、全員給食実施の必要性は高まっています。
よって、検討会議の提言や学校給食の意義と重要性を踏まえ、本市では中学校の全員給食を実施します。
給食の提供にあたっては、学校給食の目的である安心・安全で栄養 バランスの摂れた豊かな食事を提供することに加え、検討会議で示された基本的な考え方等を踏まえ生徒全員がおいしく、楽しく食べることができるとともに、子供の頃からの生活習慣病予防の基礎づくりができる給食を目指して取組を進めます。

3 中学校給食の基本的な考え方

中学校の全員給食は、次の考え方を基本に実施します。

( 1 ) 食育の推進

  • 子供の頃からの生活習慣病予防の基礎づくりを行うため、生徒一人ひとりの行動変容を促し、個人の状況にあった給食提供を行うなど、楽しみながら、自然とくらしの中で健康になれる食育の推進に取り組みます。
  • 給食の準備から片づけまでを通して食事のマナーなど を体得するとともに、生徒全員が協力することで、食事を通してよりよい人間関係を築けるよう取り組みます。
  • 食生活の多様化が進み、朝食の欠食、偏った栄養摂取、 肥満や過度のやせなど子供の食生活の乱れが指摘される中、給食の献立を教材とした食育を行い、 生涯にわたる食に関する自己管理能力を身につけさせるなど、 望ましい食習慣の形成を図ります。全員給食に合わせた、学校給食を活用した食に関する指導のための更なる取組を進めるとともに、現在の栄養教諭等の配置状況を踏まえ、大阪府に要望するなど職員体制について検討を行います。
  • 小学校から中学校までを見据えた食育ができるよう、小学校での食育の取組も参考としながら推進していきます。
  • 健都2の強みを生かして、国立循環器病研究センター(以下「国循」という。)や国立健康・栄養研究所(以下「健栄研」という。)などとの連携のもと、「生活習慣病予防の基礎づくり」につながる給食の提供を目指します。
  • 国循等との連携においては、減塩だけでなく栄養バランス等の観点も踏まえた献立の開発や、学校健診等のデータを活用し、全員給食実施前後の比較による健康課題を分析するなどのデータヘルスの推進につながる 取組を検討します。

(2 ) 献立

  • 給食は、主食(米飯又はパン)・副食・牛乳からなる、完全給食で実施します。
  • 献立は、本市が給食調理を委託する事業者と事前に協議をした上で、本市が作成します。また、国循や健栄研と連携した献立の提供も検討します。
  • 統一献立を作成し、原則として、同じ給食を実施します。
  • 給食には、多種類の食材や旬の食材を取り入れ、 幅広いバラエティに富んだ献立や季節・行事に応じた献立を提供します。
  • 小学校給食と同様に、応募献立など食に対する関心を高め、給食に親しみを持てるような取組を検討します。
  • 配送・配膳には保温食缶3を使用し、適温での給食提供を行います。これにより、個人の状況に応じた量の調節にも対応できます。

(3 ) 食材

  • 給食で使用する食材の選定などは、本市が実施することを基本とし、食材費の金額は本市が決定します。
  • 食材は、安全性の高いものを使用し、その流通が明確なものとします。
  • 食材費は、学校給食法の規定に基づき、市が給食費として保護者から徴収することを基本とします。
  • 地産地消の取組として、吹田市内で収穫された野菜などを使用するなど、可能な範囲で実施します。

(4 ) 食器

  • 給食で使用する食器は、望ましい食習慣を身につけられるものを基本とし、生徒の安全面や扱いやすさなども考慮して選定します。

(5 ) 食物アレルギーへの対応

  • 食物アレルギー対応を実施します。生徒の安全面を考慮し、小学校給食で実施している対応を基本とします。
  • 一部の食材について除去食の対応を行います。対象の食材については、小学校と同様に、乳、卵、小麦の一部4を基本として、検討を進めます。
  • 給食に使用しない食材についても、小学校と同内容を基本として、検討を進めます。
  • 小学校と同様に、食物アレルギー対応に関するガイドラインを作成し、市(学校を含む。)、保護者、調理事業者の共通理解のもと実施します。
  • 給食調理は、専用室や別ラインで調理するなど、アレルゲンの混入を防ぐことができる環境で調理します。

(6 ) 提供日数

  • 給食の年間提供日数については、令和5年度(2023年度)の実績は各学校当たり約170日ですが、全員給食の開始により、準備期間の短縮を図ることができるため、年度当初から提供が可能となり、小学校と同程度の190日程度を見込みます。
  • ・実際の給食の実施は、行事日程等を考慮し、各学校で決定します。

4 実施方式と実現化の方策

(1 ) 実施方式

給食の実施方式については、長期的な安定供給や経費面などを総合的に判断し、健都イノベーションパーク6(摂津市千里丘新町)での民設民営によるセンター方式7とします。
調理場の整備にあたっては、本市が作成する献立に基づく給食を調理できるとともに、HACCP8の考え方を取り入れ「学校給食衛生管理基準」や「大量調理施設衛生管理マニュアル」に則った衛生管理を実施できる施設とすることなどを求めます。
なお、民間の事業者が施設を整備し、維持管理及び調理等の運営を行うことで給食を提供することとなりますが、本市は給食の実施責任者として、献立作成・食材の選定を行うほか、調理工程や衛生管理などについて施設を定期的に巡回するなど、管理体制の構築を図ります。

(2 ) 実現化の方策

本基本計画を踏まえた給食調理事業の運営を条件の一つとして、 健都イノベーションパークの本市所有地に第2アライアンス棟9の整備運営事業者を募集し、入居する給食調理事業者へ給食調理等を委託することで、中学校給食の提供を行います。
事業者の選定においては、学校給食への理解や、安心・安全な給食を安定的かつ確実に提供できる体制等を評価した上で事業者を選定します。
また、整備する調理場の規模については、生徒数に教職員数を加えた食数を調理することができるものとなります。
令和6年(2024 年)5月の生徒数は 9,231 人、教職員数は約 650 人、学級数は 251 であり、今後、生徒数は 11,000 人程度まで増加するものの、長期的には少しずつ減少していくと見込んでいます。
なお、これら給食調理場の整備に必要な内容については、整備運営事業者の募集時に要求水準として示すこととします。

(3 ) 全員給食の開始時期

全員給食の開始時期は、事業者選定から契約、給食調理施設整備等に要する期間を考慮し、令和 10 年度(2028 年度)中を目標とします。

5 その他の検討事項

(1 ) 学校における施設面の準備

調理場からコンテナで配送された保温食缶を、衛生的に一時保管しておくために、各中学校の給食配膳室等の整備を行います。
現在、中学校の給食配膳室は選択制デリバリー方式を前提として、生徒数の約半数が給食を利用する想定で設備等の整備を行っているため、保温食缶による全員給食に対応できるよう改修を行います。
給食配膳室の面積が十分でない学校においては、現在の給食配膳室の拡張を基本とし、教室までの配送ルートなどを踏まえた整備を検討し、生徒の安全面や負担など運用面も考慮して計画します。
また、各学級で配膳するためのスペースについても検討します。

(2 ) 学校における運用面の準備

全員給食の円滑な実施に向け、学校における給食指導の体制整備やアレルギー対応の確認体制等の構築のほか、宗教上の理由その他個別の事情により配慮が必要な生徒への対応について、各学校において適切に対応できるよう検討します。
また、 配膳時の衛生管理の徹底などについて、生徒と教職員それぞれ が行動するべきことを検討し、整理していきます。
その内容については、研修などを行い、学校全体で共通認識を持ち、取り組んでいけるよう体制を整えていきます。
また、給食時間についても改めて検討を行います。

(3 ) 就学援助実施の検討

小・中学校での義務教育が円滑に受けられるように、条件を満たす方を対象に、学用品費など学校で必要な費用を援助する就学援助費について、小学校給食費が対象費目となっていることを踏まえて、全員給食の実施に合わせて中学校給食費を対象費目に追加することを検討します。

(4 ) その他

健都イノベーションパークに立地する民設民営の施設で実施することで、学校給食にとどまらない、民間事業者の持つ柔軟な発想による取組や産学官民連携による多様な取組を実施することができます。
これにより、中学校給食の提供以外にも、将来的に地域住民を巻き込んだ幅広い世代へアプローチできる健康寿命の延伸に資する取組の実施が期待できます。
また、災害時において、可能な限り給食を継続できる体制 や、避難所への支援体制など、非常事態での連携方策についても検討を行います。

6 終わりに

現在の学校給食では、学校給食実施基準に示されている一人当たりの摂取基準をもとに一律で献立を作成していますが、生徒一人ひとりの運動量や体格等により必要な栄養素やエネルギー量が異なると考えられます。
中学校の全員給食では、小学校と同じように食缶による提供や食物アレルギー対応の実施を予定しており、量の調節などにより個人の状況に対応していきますが、将来的にはより個人にとって望ましい個別最適化された給食提供も見据えた検討が必要です。
その実現には新たな科学的根拠を得るとともに、提供のための技術的な仕組み作りが必要であるため、行政だけでなく、健都内外の企業や研究機関とも連携しながら、更なるICTの活用や技術革新を期待し、長期的な視点で学校給食の在り方を考察していく必要もあり ます。
また、この中学校の全員給食の取組が児童・生徒だけでなく、食を通じて様々な世代の方に広がることで、地域住民を巻き込んだ幅広い世代の「生活習慣病予防の基礎づくり」の取組に発展し、本市が目指す市民の健康寿命の延伸につながることを期待します。

この投稿について、「がんばれ」と思っている人が多いみたいですね。参考にします!(^^)
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