最近よく目にする「SHEIN(シーイン)」ですが、ここで販売されているアイテムから、またもや発がん性物質を検出されたニュースがありましたので、Temu(テム)の時と同じく、調べたことをここに記しておこうと思います。
朝鮮日報の記事について
ソウル市は18日、中国eコマース企業の通販サイト「SHEIN(シーイン)」で販売されている女性用下着から、韓国の基準値の3倍超に上る発がん性物質が検出されたと明らかにした。この発がん性物質は膀胱炎の発症リスクを高めるものだという。
ソウル市は、「AliExpress(アリエクスプレス)」「Temu(テムまたはティームー)」「SHEIN」で販売されている下着などの衣類、化粧品、食品容器、衛生用品など計330種類を検査した。このうち20種類の製品から基準値を上回る有害物質が検出された。
SHEINの誕生とグローバル展開
創業と初期のビジネスモデル
SHEINは2008年、中国の南京でクリス・シュー(Chris Xu)によって設立されました。当初は「ZZKKO」としてスタートし、主に女性用のウェディングドレスを販売していました。
クリスは、中国製品の国際市場における商業的価値に着目し、結婚式用ドレスの需要が高いことを発見しました。
このビジネスモデルの成功を受けて、ZZKKOは2011年に「SheInside」に改名し、女性用衣料やアクセサリー、コスメティクスなどの販売を開始しました。
2012年にはウェブサイトを立ち上げ、ソーシャルメディアマーケティングを強化し、ファッションブロガーとのパートナーシップを結ぶことで知名度を上げました。
急成長と国際展開
2015年、さらなるブランド認知度向上を目指して「SHEIN」に再度改名しました。この時期に同社は完全に統合された小売業者としての地位を確立し、800人以上のデザイナーとプロトタイプクリエイターを抱えるようになりました。
SHEINは、2019年に米国市場における昼間のテレビ番組でその製品が紹介されるなど、国際市場でも存在感を強めました。新型コロナウィルス(COVID-19)パンデミックがオンラインショッピングの需要を押し上げたことで、2020年には売上が倍増し、10億ドルに達しました。
ビジネスモデルと競争戦略
SHEINのビジネスモデルは、データ駆動型のトレンド分析と迅速な製品開発に基づいています。
Googleトレンドやソーシャルメディア、競合他社のウェブサイトからのデータを利用し、トレンドを素早く把握して新しいデザインを提供します。
さらに、SHEINは独自のソフトウェアを使用してサプライチェーンを管理し、製造パートナーとリアルタイムで連携することで、デザインから生産までのリードタイムを大幅に短縮しています。
このような革新的なアプローチにより、SHEINはわずか3日で新しいデザインを市場に投入することができます。これに対して、伝統的なファッション企業は数週間かかることが一般的です。
SHEINの戦略は、低価格で高品質な製品を提供し、消費者にとって魅力的な購買体験を創出することにあると書かれています。
グローバルな成長戦略
SHEINは、競争力を維持するために積極的な国際展開を続けています。ラテンアメリカやヨーロッパでの供給ネットワークを強化し、ローカルの製造拠点を設立するなど、地域ごとの市場ニーズに対応した戦略を展開しています。また、プラットフォームをサードパーティの販売者にも開放し、製品の多様性を高めることで、消費者の選択肢を広げています。
これらの取り組みにより、SHEINは世界最大のオンライン専用ファッションブランドとなり、持続可能なファッションラインを導入するなど、環境への配慮も行っているようです。
まとめ
SHEINは、その独自のビジネスモデルとグローバルな成長戦略により、ファッション業界で急成長を遂げました。
データ駆動型のトレンド分析と迅速な製品開発、ローカル市場への対応力を駆使して、消費者に高品質な製品を提供し続けています。
今後もさらなる国際展開と技術革新を通じて、グローバルなファッション市場でのリーダーシップを強化することが期待されているようですが、一方で「危険」「詐欺」「リスク」「やばい」等のネット記事を見かけます。
それには、製品のクオリティが関係しており、金額の安さとその向こうにある労働者の負担もあるとされているようです。
SHEINが低価格で商品を提供できる理由
SHEINは、自社工場を持たずに約300から400のコアサプライヤーと1,000を超える協力サプライヤーと提携し、巨大なサプライチェーンを形成しています。これにより、多品種小ロットの生産が可能となり、安価な商品を迅速に提供できる仕組みを構築しています。
SHEINの安全性への懸念
SHEINの商品に関する安全性にはいくつかの懸念があります。以下はその一部です。
1. 製品の安全性
韓国の調査によると、SHEINの女性用パンツから発がん性物質アリールアミンが基準値を大幅に超えて検出されました。
また、水着や浮き輪などからも有害物質が確認されています。
2.情報公開の不透明性
SHEINは適切な情報公開が行われていないと批判されています。
特に未上場企業でありながら時価総額は1,000億ドルとされており、その透明性の欠如が問題視されています。
3.個人情報の漏洩
2018年のサイバーセキュリティインシデントにより、3,900万人の顧客の個人情報が漏洩しました。
この事件は公表されず、後にニューヨーク州から190万ドルの罰金が科されています。
4.サプライチェーンにおける人権問題
新疆ウイグル自治区での強制労働に関与しているとの疑惑があります。
米国は強制労働製品の輸入を禁止していますが、SHEINの製品は「デ・ミニマス・ルール」を利用して税関検査を逃れているとされています。
SHEINのサプライチェーンの透明性と環境影響
サプライチェーンの透明性
SHEINは、そのサプライチェーンの透明性に関して長らく批判を受けてきました。具体的には、製品の製造場所や労働条件についての詳細な情報が公開されておらず、多くの疑問が残っています。
最近の報道では、SHEINが国際標準化機構(ISO)やSA8000認証を受けたと偽って主張し、その後迅速にこれらの主張を撤回したことが明らかにされました。
また、SHEINの2021年のサステナビリティレポートによると、同社のサプライヤー工場の66%が「普通」のパフォーマンス評価を受けており、重大なリスクが存在するため是正措置が必要とされています。
環境影響
SHEINは、その急速なファッションモデルにより、環境への大きな影響を及ぼしています。
大量生産と消費の促進により、大量のテキスタイル廃棄物が発生し、その多くが埋め立て地や焼却場に送られています。
また、合成繊維の生産には大量の化石燃料が必要であり、これが温室効果ガスの排出に繋がっています。
染色や仕上げ工程で使用される有害な化学物質も環境汚染の原因となっています。
しかし、SHEINは環境への影響を軽減するためにいくつかの取り組みを始めています。たとえば、2021年には廃棄物削減に向けたプロジェクトを立ち上げ、デッドストックを使用した製品の販売を開始しました。
また、2030年までに温室効果ガス排出量を25%削減する目標を掲げています。
持続可能性の取り組み
SHEINは「evoluSHEIN」スタンダードを導入し、再生ポリエステルなどの持続可能な素材を使用する製品の割合を増やす計画を立てています。2025年までに100%森林安全なビスコース繊維と紙ベースのパッケージを使用することを目指しており、消費者間での中古衣料の交換プラットフォームも試験的に導入しています。
課題と展望
SHEINの取り組みには一定の進展が見られるものの、まだ多くの課題が残っています。特に、労働条件や具体的な環境対策についての透明性が欠けており、消費者や環境保護団体からの批判が続いています。
SHEINが本当に持続可能なファッションブランドとなるためには、さらなる具体的な行動と情報公開が求められます。
これらの点を考慮し、SHEINを利用する消費者は、より持続可能で倫理的な選択をすることが求められます。
環境に優しいブランドやスロー・ファッションを支持することで、ファッション業界全体の持続可能性を促進することができます。
まとめ
SHEINは、その低価格と多品種展開で多くの消費者に支持されていますが、いくつかの深刻な問題が指摘されています。以下に、具体的な問題点と注意すべき点を挙げます。
1. 製品の安全性
SHEINの製品には、安全性に関する懸念がいくつか存在します。例えば、韓国の調査ではSHEINの女性用パンツから基準値を超える発がん性物質アリールアミンが検出されました。
また、他の製品からも有害物質が確認されています。
2. 情報公開の不透明性
SHEINは、製品の製造場所や労働条件についての詳細な情報を公開していません。国際標準化機構(ISO)やSA8000の認証を偽って主張し、その後撤回するなど、透明性に欠ける行動が見られます。
3. サプライチェーンの透明性
SHEINのサプライチェーンには、労働条件や環境影響に関する多くの疑問が残ります。劣悪な労働環境での製品生産や、強制労働に関与している可能性が指摘されています。
4. 環境への影響
SHEINの急速なファッションモデルは、大量のテキスタイル廃棄物を生み出し、環境に深刻な影響を与えています。合成繊維の生産や染色工程での有害化学物質の排出も問題となっています (UberArtisan)。
まとめ・消費者の皆様へ
これらの問題を理解したうえで、自身の価値観に基づいた購買行動を取ることが重要なのでしょう。
低価格に惹かれる前に、製品の安全性やサプライチェーンの透明性、環境影響などを考慮する余裕があればいいのですが、なかなかそこまで慎重になってネットで買い物する人は少ないかもしれませんが、自分の購買行動が、どのような影響を持つのか、是非とも考えてみてください。
そして、どのサイトなら安全に買い物ができるのか、あなたの普段利用しているサイトについて、調べてみるのもいいかもしれませんね。