本市の財政状況
本市の財政状況は、歳入の増加により形式収支での収入超過を達成し、実質収支でも黒字を確保することができました。
特に、市債の増加や繰入金の増加が収入増の大きな要因となっています。
歳出面では、物件費や繰出金の増加にも関わらず、全体の収支は黒字を維持しています。
経常収支比率の増加は、経常経費の増加が一般財源の増加を上回ったことを意味し、財政運営における経常経費への依存度が高まっていることを示しています。
これは、将来的に財政運営の柔軟性が低下する可能性を示唆しており、持続可能な財政運営に向けた検討が必要であることを示しています。
令和4年度(2022年度)財政状況
項目 | 金額 (億円) | 増減 (億円) | 備考 |
---|---|---|---|
歳入 | +55.6 | ||
国庫支出金 | 減少分含む | -23.9 | 減少 |
繰入金 | 増加分含む | +23.3 | 増加 |
市債(含:臨時財政対策債) | 増加分含む | +17.4 | 増加 |
歳出 | +54.6 | ||
物件費 | 増加分含む | +30.2 | 増加 |
繰出金 | 増加分含む | +19.9 | 増加 |
形式収支 | +30.6 | 収入超過 | |
実質収支 | +13.2 | 黒字 | |
経常収支比率 | 95.6% | +1.7ポイント | 令和3年度比93.9%から増加 |
財政構造の弾力性
年度 | 経常収支比率 | 増減 |
---|---|---|
令和3年度(2021年度) | 93.9% | |
令和4年度(2022年度) | 95.6% | +1.7ポイント |
この表は、本市の財政状況を要約したもので、歳入の増加にも関わらず経常収支比率が上昇していることを示しています。これは、経常経費の増加が財源の増加を上回っているためで、財政の持続可能性や弾力性に関する今後の課題を示唆しています。
一般会計
以下の表は、令和6年度当初予算の概要を要約したものです。この表には歳入と歳出の主な項目が含まれており、前年度との比較も示しています。
項目 | 金額(億円) | 前年度比(億円) | 主な要因・備考 |
---|---|---|---|
歳入 | |||
市民税合計 | 341.5 | -4.2 | 個人市民税減、法人市民税増 |
固定資産税及び都市計画税 | 335.0 | +5.4 | 新増築家屋増 |
市税の全体 | 709.3 | +2.6 | |
地方特例交付金 | 18.5 | 不明 | 定額減税による減収補填 |
地方交付税 | 32.2 | 不明 | 普通交付税と特別交付税 |
臨時財政対策債 | 4.0 | 不明 | 物価高騰対策経費等 |
歳出 | |||
補助費等 | 286.3 | +34.8 | 低所得者支援給付金給付事業など |
普通建設事業費 | 207.0 | +35.4 | 指令事業、小学校改修事業及び庁舎管理事業の増など |
この表から、令和6年度当初予算では、市民税合計で微減が見込まれているものの、固定資産税及び都市計画税の増加や地方特例交付金の創設により、市税の全体ではわずかながら増加が見込まれています。
歳出に関しては、補助費や普通建設事業費が大幅に増加しており、これは低所得者支援や指令事業、学校の改修などによるものです。
水道事業会計
水道事業は安定した水供給の確保が必須であり、災害対策として浄配水施設や水道管の耐震化、応急給水所の整備等に取り組んでいます。
しかし、これらの施設整備には多額の費用が必要であり、物価高騰の影響も受けて収益的収支の確保が困難な状況です。本年度は経営戦略の見直しと「強靭化」取組の推進に焦点を当てた予算編成を行いました。
収益的収支では、給水収益がわずかに減少し、支出は修繕費や委託料の増加等により増加しています。資本的収支では、水道施設の再構築・強靭化に多額の投資が計画されており、不足分は自己資金で補塡する予定です。
収益的収支
項目 | 金額 (万円) | 増減率 | 備考 |
---|---|---|---|
収入 | |||
給水収益 | 74,350.44 | -0.2% (前年度比) | |
加入金 | 374.00 | -2.9% (前年度比) | |
長期前受金戻入 | 1,639.61 | ||
合計収入 | 85,161.84 | -0.9% (前年度比) | |
支出 | |||
修繕費 | 2,659.11 | +29.7% (前年度比) | |
委託料 | 7,699.19 | +13.0% (前年度比) | |
撤去工事費 | 1,641.31 | +71.7% (前年度比) | |
職員給与費 | 11,629.16 | ||
受水費 | 22,454.99 | ||
減価償却費 | 15,802.14 | ||
動力費 | 2,777.79 | ||
支払利息 | 2,164.81 | ||
合計支出 | 76,266.66 | +2.8% (前年度比) | |
収支差額 | 9,135.18 | 収入>支出 |
資本的収支
項目 | 金額 (万円) | 備考 |
---|---|---|
資本的支出 | ||
導送配水管整備 | 32,200.67 | 基幹管路と配水支管の整備 |
浄配水施設整備 | 12,628.95 | 片山浄水所等の場内整備や更新工事 |
その他委託料等 | 記載なし | 工事費総額に含まれる |
固定資産取得費 | 242.2 | 量水器取付やパソコン等の購入 |
企業債償還金 | 647.28 | |
合計支出 | 54,863.57 | |
資本的収入 | ||
企業債発行 | 17,780.00 | |
国庫補助金 | 405.57 | |
合計収入 | 18,675.77 | |
不足額 | 36,187.80 | 損益勘定留保資金等の自己資金で補塡 |
この表は、水道事業会計の収益的収支と資本的収支の詳細を示しており、各部門での費用や収入の流れを明確に理解するのに役立ちます。収益的収支では収入が支出を上回り、資本的収支では大規模な投資が計画されていることがわかります。
下水道事業会計
下水道事業は、市民の生活や都市環境を守るために不可欠なサービスです。しかし、施設の老朽化、災害リスク、使用料収入の減少、物価の高騰など、様々な課題に直面しています。これらの課題に対応するため、施設の維持管理や更新、災害対策の強化、経営基盤の充実などが重要な取り組みとなっています。
具体的には、下水道管路や処理施設の整備を進めることで、市民からの要望に応え、サービスの質を向上させることを目指しています。また、耐震診断や雨水管の整備によって、災害時のリスクを軽減します。経営面では、使用料収入の確保や財政マネジメントの向上によって、将来にわたって安定したサービスを提供するための基盤を強化しています。
下水道事業の経済的側面では、収益的収支においては、営業収益と営業外収益を合わせ、特別利益を加えた総収入が前年度に比べて増加しており、経費も増加していますが、全体としては黒字を維持しています。資本的収支では、建設改良費や企業債の償還金などによる支出があり、これらの支出を賄うために企業債の発行や国庫補助金などの収入を計上していますが、不足分は自己資金で補填しています。
このように、下水道事業は多岐にわたる課題への対応と、持続可能な運営を目指すための様々な取り組みを進めており、経済的にも健全な運営を続けることで、市民の生活や都市環境の保護に貢献しています。
収益的収支
項目 | 金額 (万円) | 増減率 | 備考 |
---|---|---|---|
収入 | |||
下水道使用料 | 49,662 | 汚水処理の私費負担 | |
繰入金 | 30,177 | 雨水処理の公費負担 | |
長期前受金戻入 | 14,581 | ||
一般会計負担金 | 4,149 | 特別利益含む | |
合計収入 | 100,489 | +3.7% (前年度比) | |
支出 | |||
減価償却費 | 38,355 | ||
処理場費 | 20,071 | ||
管理運営負担金 | 11,923 | 流域下水道管理 | |
支払利息 | 4,887 | ||
消費税 | 600 | ||
除却費 | 4,267 | 特別損失含む | |
合計支出 | 96,356 | +2.8% (前年度比) | |
収支差額 | 4,132 | 収入>支出、黒字 |
資本的収支
項目 | 金額 (万円) | 備考 |
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資本的収入 | ||
企業債 | 26,209 | |
国庫補助金 | 934 | |
合計収入 | 35,465 | |
資本的支出 | ||
建設改良費 | 36,435 | 管渠、処理場の建設改良に充てる |
企業債償還金 | 27,304 | |
合計支出 | 64,187 | |
不足額 | 28,722 | 損益勘定留保資金で補てん |
下水道事業会計の要約と表からは、下水道の持続可能な運営を目指し、施設の老朽化対策、災害対策、経営基盤の強化などに取り組んでいることがわかります。
収益的収支は黒字を維持していますが、資本的収支では大規模な投資により不足額が発生しており、この不足分は自己資金で補填する計画です。